2025年「IBBYサイレント・ブックス」に推薦しました

 サイレント・ブックス(Silent Books)とは、文字のない絵本のことです。2012年、IBBYイタリア支部は、イタリア領最南端の地中海の小島ランペドゥーサに子どものための図書館を造りました。人口5,500人ほどのこの島は、アフリカや中東から地中海を渡りヨーロッパを目指す移民や難民が最初にたどり着くところです。島には、当初800人を収容できる難民収容センターがありましたが、2011年の移民数は5万人を超えました。環境の急激な変化に怯える子どもたちには安心できる空間と本が力になると考え、IBBYの呼びかけに応えた各国のボランティアと島民が力を合わせ、民家を改造した図書館に世界の文字のない絵本を集めました。絵の力だけでお話をたどれる絵本は、言葉の壁を越えすべての子どもたちに開かれています。

 以来、IBBYでは2年に一度、各国支部から、母語が異なる子どもたちが楽しめる文字のない絵本を収集しています。

 2025年の募集に向け、日本からは下記の4冊を推薦しました。

『世界』junaida作、福音館書店

『たびにでよう』降矢なな作、童心社

『どっとこむしずかん』中村至男作、福音館書店

『どんぐり』たてのひろし作、小峰書店

選考委員笹岡智子、広松由希子、山本美希
対象2021年以降に出版された文字がない本

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各国から寄せられた文字のない絵本は、ランペドゥーサ島の子ども図書館で利用されるほか、ローマのエスポジツィオーニ宮殿のアートの棚に収蔵され常時閲覧することができます。さらに各国で展示会も行われます。

IBBYイタリアは、毎回十数冊を選び「オナーリスト」として、サイトで紹介しています。下記のサイトから選ばれた本をご覧いただけます(説明はイタリア語です)。
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