JBBYは「2024年国際子どもの本の日」の担当国になりました。

 4月2日は、デンマークの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの誕生日、「国際子どもの本の日」です。1966 年にIBBY の創設者イェラ・レップマンが提案し、翌1967 年に記念日に制定されました。以来、子どもの本で国際理解を深めるために、毎年各国でお祝いや特別なイベントが行われるようになりました。1969 年からは、IBBY に加盟する国々が順番に、メッセージとポスターを作製して発信しています。JBBY会員の皆さんや、全国の公共図書館にはお届けしているので、ご覧になって、楽しみにされている方も多いことと思います。過去のポスターはこちらからご覧になれます▶

 JBBY が創設50 年を迎える2024 年は、日本が担当国になりました。日本が作ったポスターが世界中に貼られ、日本からのメッセージが各国の子どもたちに届きます。今から楽しみです。
 実は、日本は1995 年にも担当国になっています。懐かしい当時の、小野かおるさんによるポスターと、渡辺茂男さんによるメッセージをご紹介します。

日本が担当した【1995年の】国際子どもの本の日ポスターとメッセージ

本は、子どもと世界をむすぶ

メッセージ:渡辺茂男 | ポスター:小野かおる

 ある日わたしは、図書館で、おなかの大きい若いおかあさんが絵本を選んでいる姿を見かけました、まぶしいほどの幸せがあたりに満ちこぼれていました。
 やさしいおかあさんは、おなかの赤ちゃんに絵本を読んであげたり、話しかけたり、歌ってあげたりするのでしょうね。赤ちゃんは、あたたかい滑らかな胎内で、指をなめたり体を動かしたりしながら、おかあさんの声を聞くのです。おかあさんと赤ちゃんが一体で、肌と肌の距離がゼロのときから、こうして心のスキンシップが始まるのだなあ! と、わたしは、ほんわかと心があたたかくなりました。
 子ども時代に聞いた物語は、それを語ってくれた人の思い出とともに、いつまでも心に残っています。
 わたしは、このすばらしい体験を、自分の家庭をもってから、妻といっしょに、子ども達と分かち合いました。こうしてすごしたひとときは、親として二度と持つことのできない至福のときでした。
 わたしは本の力を信じます。人の心が語り出す物語が、消えない文字で記録され、ときには絵を添えられて、だれでも手にすることのできる素朴な形でそこにあるのです。手にすれば、いつでも、どこでも読み始めることができるのです。
 本はあなただけのものですし、世界中の人々のものでもあるのです。もし世界中の子ども達が、一人残らず文字が読めるようになり、一人残らず一冊ずつ本を持てるようになれば、世界中の争いは、もっとずっと少なくなるに違いありません。
 わたしは新聞やテレビの伝える報道で、その力を見ることがあります。戦禍を逃れてきた人々の難民キャンプで、食べものの次に、本と物語が、子ども達の笑顔を取り戻しているのです。子どものためのすぐれた本が、平和に貢献できるのだ、ということを示している笑顔ではありませんか。