JBBY希望プロジェクト・学びの会報告(2024/2/14)

「生きる力をはぐくむ居場所づくり~不登校やひきこもりの子どもたちによりそう」
 講師:西野博之さん(認定NPO法人フリースペースたまりば理事長)

 講師の西野博之さんは、33年前から川崎市のフリースペースたまりばを運営、また、子どもの権利に関する調査研究員会世話人として川崎市の条例策定に関わり、2000年に成立した条例の具現化である子ども夢パークの所長を務められました。

ご講演では、まず、コロナ下で不登校やいじめ、自殺が増えていること、日本の子どもが自己肯定感が低いことなど、子どもたちが置かれている現状を、データを交えてお話しいただきました。

続いて、「子どもの権利条約」批准後、いち早く条例を策定した川崎市の取り組みを紹介。子ども夢パークを作る際には、子どもの声を聞き、子どもの権利の重要な柱である意見表明権を20年以上も前から実践。また学校とフリースペースとの連携や、保護者を支えるための取り組み等も行っているとのことです。さらには、多くの事例を紹介しながら、遊ぶことの大切さ、発達障害の概念の捉え直し、子どもと関わる大人として「自分のものさしを疑う」ことの重要性など、様々な視点をご提示いただきました。 最後に、市民への報告集会で条例を説明した時になだれ込んできた子どもたちが、「まず、大人が幸せでいてください」と語ったという、とても印象的なエピソードを紹介、その後、質疑を経て終会となりました。

報告:濱野京子(作家)

西野博之(にしの・ひろゆき)
認定NPO法人フリースペースたまりば理事長。川崎市子ども夢パーク・フリースペースえん他、各事業総合アドバイザー。1986年より不登校児童・生徒や高校中退した若者の居場所づくりにかかわる。1991年、川崎市高津区にフリースペースたまりばを開設。 不登校児童・生徒やひきこもり傾向にある若者たち、さまざまな障がいのあるひとたちとともに地域で育ちあう場を続けている。2003年7月にオープンした川崎市子ども夢パーク内に、川崎市の委託により公設民営の不登校児童・生徒の居場所「フリースペースえん」を開設、 その代表を務め、2006年4月より川崎市子ども夢パークの所長に就任。2021年3月までの15年間所長を務めた。神奈川大学非常勤講師。精神保健福祉士。著書に『居場所のちから-生きてるだけですごいんだ-』(教育史料出版会)、『西野流「ゆる親」のすすめ<上>7歳までのお守りBOOK~「正しい母さん・父さん」を頑張らない。~』『西野流「ゆる親」のすすめ<下>10歳からの見守りBOOK~だいじょうぶのタネをまこう。~』(ジャパンマシニスト社)等多数。

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