4月2日は、国際子どもの本の日です!
2019年4月1日
4月2日はアンデルセンの誕生日、「国際子どもの本の日」です。
子どもに本のよろこびを、大人にも子どもの本のおもしろさと大切さを伝えるため、1967年に、IBBY(国際児童図書評議会)が定めました。世界中で子どもと子どもの本のお祭りがひらかれます。
1969年からは、IBBYに加盟する支部が順番に、ポスターとメッセージを制作し、世界中に発信してきました。2019年は、リトアニアから、国際アンデルセン賞の候補にもなった絵本作家のケストゥティス・カスパラーヴィチュスさんによる、ゆかいなポスターとメッセージが届きました。
●リトアニアからのメッセージ
「本はいそがなくてもいいことを教えてくれる」
ケストゥティス・カスパラーヴィチュス
翻訳協力:櫻井映子
「いそいでいます!… 時間がありません!… さよなら!」――こんな言葉を、おそらく毎日のように耳にするでしょう。ヨーロッパの真ん中にあるリトアニアだけでなく、世界中のあちこちで。よく言われるとおり、現代に生きる私たちは、ものすごい量の情報に流され、急かされ、振り回されているのですから。
でも、ほら、本を手にとると、それだけで何だか気分が変わるでしょう。きっと、本は、特別な力を――いそぐ気持ちを静める力をもっているのです。本を開き、その静かな世界に深く入り込むと、すべてのことが恐ろしいスピードでわきを通り過ぎてゆくのも目に入らず、心を乱されることもなくなります。大した意味もない仕事に飛びつき、あくせくすることはないと思えるようになります。本の世界では、何もかもが穏やかに、順序通りに進んでゆきます。もしかすると、それは、本の頁の一枚一枚には数字がふられていて、めくればぱらぱらと静かで心地よい音がするからでしょうか?本の中で、過去の出来事は、その次に起こる出来事と、静かに出会うのです。
本の世界は自由に開かれ、そこでは現実が空想を友だちのように親しく迎えます。だから、時に、分からなくなるでしょう――雪がつもった屋根からぽつりぽつりと落ちる滴の美しさに気づいたのは、そして、隣家の青々と苔むした塀にうっとりみとれたのは――本の中のこと、それとも現実にあったこと? きれいなナナカマドの実がじつは苦いことを、本から学んだのだったか、自分で経験したのだったか。夏草の上に寝転んで、それから座って足を組み、空に浮かぶ雲を眺めたことは?
本は私たちにいそがなくてもいいことを教え、大切なことに気づかせてくれます。座るようにと誘ったり、時には強引に座らせたりします。だって、本を読もうと思ったら、机の上に置いて椅子に腰かけたり、道に座り込んだりするものでしょう?
ところで、もう一つ、こんな不思議な体験をしたことはありませんか――あなたが本を読んでいるとき、本もあなたを読んでいるということを? そう、本だって読むことができるのですよ。本は、あなたの額や眉、それに、上がったり下がったりする唇の端っこを読んでいます。けれど、もちろん、本が一番よく読んでいるのは目です。そうして、あなたの目をのぞき込んで…。さあ、どんな感じかお分かりでしょう?
本にとって、あなたのおともをするのは、面白いことに違いありません。なぜって、本を読む人は――子どもであれ、大人であれ――本を手にとろうともしない人、四六時中いそいでいて、腰を下ろす時間もなければ、大切なことに気づく暇もない人などより、はるかに面白いに決まっていますから。
国際子どもの本の日に、お互いに祈りましょう。面白い本にめぐり会えますように――そして、私たち自身も本にとって面白い存在でいられますように!