「世界の子どもの本展」開催レポート

「世界の子どもの本展」の会場の様子を、写真とともにご紹介します。

◆大桑村図書館◆(長野県)

会期:2022年9月23日~10月2日
会場:大桑村役場多目的ホール(長野県大桑村)
主催:大桑村図書館

 新しく開館した大桑村図書館では、その開館イベントとして「世界の子どもの本展」を開催しました。大桑村図書館は、出会いの広場であり、世界に広がる窓でもありたいと考えています。世界の優れた子どもの本に触れられるこのイベントは、まさにオープニングにふさわしいものでした。
 会場には、村民の方だけでなく、周辺地域からも多くの方におこしいただけました。また、最終日には地元中学校の生徒さんが団体で鑑賞してくださり、日本のものとは一味違う各国の児童書を興味深くご覧になっていました。
 会期中には、JBBY会長のさくまゆみこ先生のご講演もいただき、世界の子どもの本への理解を深めることができました。

報告:平中和司(大桑村図書館)

◆剣淵町絵本の館◆(北海道)

会期:2022年7月2日~18日
会場:剣淵町絵本の館 展示ホールA
主催:剣淵町教育委員会

◆富山市立図書館(TOYAMAキラリ)◆(富山県)

会期:2022年5月24日~6月5日
会場:富山市ガラス美術館(TOYAMAキラリ)5階ギャラリー1・2
主催:富山市立図書館交流行事運営委員会

◆太田市美術館・図書館◆(群馬県)

会期: 2021年11月13日~28日
会場:太田市美術館・図書館(群馬県太田市)
主催:太田市、一般財団法人太田市文化スポーツ振興財団
共催:JBBY(一般社団法人日本国際児童図書評議会)

 太田市美術館・図書館では令和3年11月13日(土)~11月28日(日)まで、世界の「子どもの本展」を開催しました。会期中の観覧者数は1654名と、多くのお客様に世界中から選ばれた児童書を手に取っていただくことができました。

 親子連れのお客様、親子3世代そろったお客様など多くの方に参加していただき、「色々な国の本があって日本とはちがう絵などがおもしろかった。」「様々な国の本を見てみて、新しい言語を学びたいと思いました。」等の感想をいただきました。子どもの本を通して国際理解を深め、興味を持っていただく機会となったと感じ、大変うれしく思いました。

 また、2つの関連イベントも開催しました。初日に「みんなでつくろう!マイ国旗」を行い、参加者にオリジナルの国旗を作成していただき、展示室の一部として飾らせていただきました。小さなお子さんでも楽しく参加していただくことができました。

 会期中に、「クイズ!トレジャーハント~世界地図からヒントを探そう!~」と題して展示室に世界地図が登場し、世界にまつわるクイズイベントを行い、展示会とともに多くのお客様に参加していただけました。

報告:岡村晴代(太田市美術館・図書館)

◆赤穂市立図書館◆(兵庫県)

会期: 2021年10月29日~11月7日
会場:赤穂市立図書館(兵庫県赤穂市)
主催:赤穂市立図書館

 「世界の子どもの本展2020」は、200点近くの本が一堂に会するダイナミックな企画。今回もとても見応えのある作品がそろっています。

 全部の本を手に取ることができるのが、この巡回展のうれしいところ。説明を読むだけではわからない魅力が直に伝わってきます。事前にはさほど気になっていなかった作品に見入ってしまうことが何度もありました。自分が今いる場所とは違う場所や広い世界の存在を知るのは楽しいものですが、ふだんあまり接することのない言語や地域、テーマの作品にふれると、本当に知らないことばかりで、世界は広いと改めて思います。

 じっと見ていくこと2時間、心地よく疲れ、わくわくする気持ちで会場を後にしました。日本語で読んでみたい作品も多々あり、今後の出版を期待しています。

 会場ではJBBY会員の方とのうれしい出会いもありました。前回(2018)の巡回では、たまたま開催地募集の告知をSNSで見たことから、当時の職場での開催が叶いました。小さな団体や個人の有志でも開催可能なこの企画、できるだけ多くの人の身近な場所で開かれることを願っています。

報告:よこのなな(JBBY会員)

◆私立光塩女子学院中等科・高等科◆(東京都)

会期: 2021年6月7日~18日
会場:光塩女子学院中等科・高等科(東京都杉並区)

2021年6月7日から18日まで、『世界の子どもの本展』(2018年版)を東京の杉並区にある私立光塩女子学院中等科・高等科(https://www.koen-ejh.ed.jp/jh/)にて開催いたしました。

学校内での展示は、JBBYにとってもこれまであまりやって来なかった試みです。どのように展示され、教育に生かされ、生徒さんたちの反応はどうだったのか、光塩女子学院の佐野摩美校長先生と担当の塚田聡子先生、鎌田寧々先生にお話を伺いました。

「世界のすばらしい絵本を一同に見られる展覧会を校内で開催できる、と聞いて、直ぐにこれはぜひともやりたいと思いました」と佐野校長先生。 光塩女子学院は元々中等科で<絵本を作る>授業があり、OGには絵本作家として活躍している人たちもいるとのこと。

佐野校長先生のリーダーシップで始まったプロジェクトは、自分で課題を発見して、調べ、考えを深めていく「探究」という授業を担当する塚田先生と鎌田先生が中心となって、生徒たちと一緒に進めることになったそうです。
「図書部とボランティアで参加してくれた生徒とで、どうやったらみんなが見に来てくれるか、工夫しながら進めていきました」と塚田先生。

飾りつけや紹介文、ポスターや校内放送なども生徒さんの手によるもの。また中等科・高等科の生徒だけなく、保護者や初等科の生徒たちにも見てもらいたいと、いろんな人にそれぞれの視点で見てもらえるよう工夫をしたそうです。
「展示ではあまり情報を提供しすぎないようにして、考えるヒントになるような小ネタを仕込むような形にしました」。

JBBYの展示のセットに含まれている解説パネルとは別に、所々ポップがあります。そこにはなんと言語学の豆知識が! これは「あ、これはつなげられるかも」と思いついた鎌田先生が大学院時代の専門の知識が生かして書いたのだそうです。

隣接する初等科の生徒たちは授業の「世界の国々を学ぶ」という単元で見学をしたそうですが、中等科・高等科では「今回は、楽しみとして見てもらいたいと思い、特別講座や授業で生徒を展示室に連れていくようなことはしませんでした。世界地理の授業をやっているなかで、『アフリカの絵本には、フランス語のものがわりとあるけど何でだと思う?』とたずねて、植民地支配の歴史とつながるようにしたりしました」と塚田先生。

会場のモニターにはJBBYの会員でもある翻訳者の映像が流れています。これはJBBYが用意した解説動画で、そばにはQRコードが刷り込まれたシートが置かれています。光塩女子学院では、昨年から生徒は1人1台のタブレットを持つようになっているそうで、会期中はどこからでも解説動画を見ることができるようになっているのです。

「動画を流すようになって、イメージがしやすくなりました」。全部をそこで見るというより、「あ、そういうことなのか」と興味を持つきっかけになったようです。「多様性が大切とはよく言われますが、世界のさまざまな絵本が具体物としてあり、手にとってみられることで、より実感でき、広がりがあったように思います」。

外国人の英語のAT(アシスタントティーチャー)の方も興味を持って、自ら会場ボランティアを買って出てくれ、そこで生徒たちと絵本を通じたコミュニケーションもあったようです。

まさにアクティブラーニングであり、実践ICT教育でもありますね。生徒さんのアンケートがとても素晴らしかったので、掲載させていただきます。
「世界の子どもの本展に行って」(PDF)

「課題だらけのこの時代、自分で問題を見つけて解決を探る力は絶対に必要だと思うのです。その力があれば、未来がどんな時代になっても、子どもたちは生き抜いていけます」。
佐野校長先生の熱意溢れる言葉に、気が付けば、深く深く頷いていました。

光塩女子学院での展示はとても良い雰囲気で、子どもたちと本をつなぐ広がりを感じることができ、JBBYにとっても今後の展示のヒントになったように思います。
もし、自分の学校、お子さんやお孫さんの通う学校でも開催したいという方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひ、事務局までご相談ください。

報告:吉田幸司(JBBY理事)

小淵沢 バウハウス◆(山梨県)

会期:2021年3月19日~28日
会場:山梨県北杜市小淵沢町 バウハウス(旧パスタレストラン)
主催:小淵沢周辺の有志

前年秋から「世界の子どもの本展」開催のための資金集めとして絵本・子どもの本の古本市を始めました。近隣の3店舗(パン屋さん、自然食品店、洋服屋さん)に本を置かせてもらい、その間にチラシや口コミ、SNSで告知を行いました。展示会場は別荘地の元レストランだった場所です。皆で試行錯誤しながらベニヤと段ボールで展示用本棚を作り、ついに200冊が並んだときは歓声が上がりました。

会期中は初日から予想以上の来場者があり、お天気にも恵まれて、毎日大盛況でした。会場ではほぼ毎日、近隣の外国ルーツの方や外国語に堪能な方に展示本を読んでもらう「原語で読んでもらおう!」企画を実施。ポルトガル語、スペイン語、中国語、韓国語、ノルウェー語、フィンランド語、ポーランド語など10言語、12人の方が快く読み手を引き受けて下さり、楽しい時間となりました。

10日間はあっという間で、今思うと夢のようです。何よりよかったのは、運営に奔走したスタッフたちが「本当に楽しかった」と言ってくれたことです。スタッフ以外にも数えきれないほど多くの方から温かい応援をいただき、本の持つ力を実感しました。そして、この地域に子どもの本を愛する人たちがこれほどたくさんいるとわかったのも嬉しい驚きでした。これをきっかけに、八ヶ岳南麓に新しい風が吹くことを願っています。

報告:鎌田真由子(有志代表)