「世界の子どもの本展」開催レポート

「世界の子どもの本展」の開催の様子を、写真とともにご紹介します。

◆私立光塩女子学院中等科・高等科◆(東京都)

会期: 2021年6月7日~19日
会場:光塩女子学院中等科・高等科(東京都杉並区)

2021年6月7日から19日まで、『世界の子どもの本展』(2018年版)を東京の杉並区にある私立光塩女子学院中等科・高等科(https://www.koen-ejh.ed.jp/jh/)にて開催いたしました。

学校内での展示は、JBBYにとってもこれまであまりやって来なかった試みです。どのように展示され、教育に生かされ、生徒さんたちの反応はどうだったのか、光塩女子学院の佐野摩美校長先生と担当の塚田聡子先生、鎌田寧々先生にお話を伺いました。

「世界のすばらしい絵本を一同に見られる展覧会を校内で開催できる、と聞いて、直ぐにこれはぜひともやりたいと思いました」と佐野校長先生。 光塩女子学院は元々中等科で<絵本を作る>授業があり、OGには絵本作家として活躍している人たちもいるとのこと。

佐野校長先生のリーダーシップで始まったプロジェクトは、自分で課題を発見して、調べ、考えを深めていく「探究」という授業を担当する塚田先生と鎌田先生が中心となって、生徒たちと一緒に進めることになったそうです。
「図書部とボランティアで参加してくれた生徒とで、どうやったらみんなが見に来てくれるか、工夫しながら進めていきました」と塚田先生。

飾りつけや紹介文、ポスターや校内放送なども生徒さんの手によるもの。また中等科・高等科の生徒だけなく、保護者や初等科の生徒たちにも見てもらいたいと、いろんな人にそれぞれの視点で見てもらえるよう工夫をしたそうです。
「展示ではあまり情報を提供しすぎないようにして、考えるヒントになるような小ネタを仕込むような形にしました」。

JBBYの展示のセットに含まれている解説パネルとは別に、所々ポップがあります。そこにはなんと言語学の豆知識が! これは「あ、これはつなげられるかも」と思いついた鎌田先生が大学院時代の専門の知識が生かして書いたのだそうです。

隣接する初等科の生徒たちは授業の「世界の国々を学ぶ」という単元で見学をしたそうですが、中等科・高等科では「今回は、楽しみとして見てもらいたいと思い、特別講座や授業で生徒を展示室に連れていくようなことはしませんでした。世界地理の授業をやっているなかで、『アフリカの絵本には、フランス語のものがわりとあるけど何でだと思う?』とたずねて、植民地支配の歴史とつながるようにしたりしました」と塚田先生。

会場のモニターにはJBBYの会員でもある翻訳者の映像が流れています。これはJBBYが用意した解説動画で、そばにはQRコードが刷り込まれたシートが置かれています。光塩女子学院では、昨年から生徒は1人1台のタブレットを持つようになっているそうで、会期中はどこからでも解説動画を見ることができるようになっているのです。

「動画を流すようになって、イメージがしやすくなりました」。全部をそこで見るというより、「あ、そういうことなのか」と興味を持つきっかけになったようです。「多様性が大切とはよく言われますが、世界のさまざまな絵本が具体物としてあり、手にとってみられることで、より実感でき、広がりがあったように思います」。

外国人の英語のAT(アシスタントティーチャー)の方も興味を持って、自ら会場ボランティアを買って出てくれ、そこで生徒たちと絵本を通じたコミュニケーションもあったようです。

まさにアクティブラーニングであり、実践ICT教育でもありますね。生徒さんのアンケートがとても素晴らしかったので、掲載させていただきます。
「世界の子どもの本展に行って」(PDF)

「課題だらけのこの時代、自分で問題を見つけて解決を探る力は絶対に必要だと思うのです。その力があれば、未来がどんな時代になっても、子どもたちは生き抜いていけます」。
佐野校長先生の熱意溢れる言葉に、気が付けば、深く深く頷いていました。

光塩女子学院での展示はとても良い雰囲気で、子どもたちと本をつなぐ広がりを感じることができ、JBBYにとっても今後の展示のヒントになったように思います。
もし、自分の学校、お子さんやお孫さんの通う学校でも開催したいという方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひ、事務局までご相談ください。

報告:吉田幸司(JBBY理事)

小淵沢 バウハウス◆(山梨県)

会期:2021年3月19日~28日
会場:山梨県北杜市小淵沢町 バウハウス(旧パスタレストラン)
主催:小淵沢周辺の有志

前年秋から「世界の子どもの本展」開催のための資金集めとして絵本・子どもの本の古本市を始めました。近隣の3店舗(パン屋さん、自然食品店、洋服屋さん)に本を置かせてもらい、その間にチラシや口コミ、SNSで告知を行いました。展示会場は別荘地の元レストランだった場所です。皆で試行錯誤しながらベニヤと段ボールで展示用本棚を作り、ついに200冊が並んだときは歓声が上がりました。

会期中は初日から予想以上の来場者があり、お天気にも恵まれて、毎日大盛況でした。会場ではほぼ毎日、近隣の外国ルーツの方や外国語に堪能な方に展示本を読んでもらう「原語で読んでもらおう!」企画を実施。ポルトガル語、スペイン語、中国語、韓国語、ノルウェー語、フィンランド語、ポーランド語など10言語、12人の方が快く読み手を引き受けて下さり、楽しい時間となりました。

10日間はあっという間で、今思うと夢のようです。何よりよかったのは、運営に奔走したスタッフたちが「本当に楽しかった」と言ってくれたことです。スタッフ以外にも数えきれないほど多くの方から温かい応援をいただき、本の持つ力を実感しました。そして、この地域に子どもの本を愛する人たちがこれほどたくさんいるとわかったのも嬉しい驚きでした。これをきっかけに、八ヶ岳南麓に新しい風が吹くことを願っています。

報告:鎌田真由子(有志代表)