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ぼくたちは まだ出逢っていない(読みもの)

八束澄子 作 | ふろく 絵

カテゴリー: おすすめ!日本の子どもの本読みもの/chapter books and novels

『ぼくたちは まだ出逢っていない』

日本の伝統工芸に触れて居場所を見つける3人の中学生の物語。
英国人の父親を持ち、見た目が違うせいで暴力的ないじめを受けている陸は、「こんなの平気だ」と思っても体は素直に反応して痛みを感じるし、ぶざまなところを誰にも見られたくないと思っている。母親が再婚して京都に引っ越してきたばかりの美雨(みう)は、父親になった人とその息子を家族だとは思えず、転校先の学校でも居場所を見いだせないでいる。陸の親友の樹(いつき)は、生まれつき腸の具合が悪く入退院を繰り返している。
陸は父親といっしょに山に行った際、漆の木々が刃物の傷をいっぱいつけながらもすっくと立っているのを見て感銘を受ける。美雨は骨董屋の店先の茶碗にひかれ、漆芸修復の店で金継ぎを習い始める。樹は、金継ぎに興味を持った陸を介して、漆芸修復の店で自分のカップを直していた美雨に出会い好意を持つ。金継ぎは、日本の伝統工芸のひとつで、欠けたり割れたりした陶磁器を漆で修復し、金などで装飾するというもの。損傷を隠すのではなく傷を見せながらより美しく修復し、気温や湿度とも折り合いをつけながら時間をかけて仕上げていく。そのことを知った3人は、数値や効率では測れない伝統工芸や職人の世界があることを知り、日常の息苦しさや辛さを乗り越え、自分らしく生きられる場所を見いだしていく。描写はリアルで読み応えがあり、結末に希望が見える。(さくま)

出版社 ポプラ社
初版年 2022年
ISBN
ページ数 296頁
サイズ 20×13
対象年齢 13歳から
キーワード 金継ぎ、伝統工芸、いじめ、居場所

  • 2022
  • 296 pages
  • 20×13
  • Ages 13 +