金曜日のあたしたち(読みもの)
『金曜日のあたしたち』
志望校に落ち、不本意に入学した高校で、何もやる気にならない陽葵(ひなた)は、ある金曜日、駅前で環境危機を訴えるプラカードを持ってスタンディングをしている高校生たちを見かける。その中のひとり水沢涼真(りょうま)に、環境問題についての無知を指摘された陽葵は、くやしさからサイトや本を調べて、世界各地の異変や危機を知り、衝撃を受ける。そして、スタンディングにも参加し、身近なクラスメートや家族とも、プラゴミ、肉食、フードロスといった日常的な環境への負荷について、語り合うようになっていく。
そうした環境問題をめぐるストーリーの一方で、自分が行けなかった高校に通う同い年のいとこ百音(ももね)、最初はえらそうに見えたがじつは公平で誠実な涼真など、さまざまな人間関係における陽葵の、率直なくやしさや恋心にも引き込まれる。「子ども食堂」を手伝っている静帆(しずほ)や、ブラジルルーツの苦労を抱えているエレナなど、新しい高校の友人たちとも、次第に信頼し合っていく姿がたのもしい。
「気候時計」「IPCC( 気候変動に関する政府間パネル)」「Fridays For Future(未来のための金曜日)」といった専門的な用語と、渋谷、代々木公園、上野動物園などを舞台にしたリアルな高校生たちの日常の言葉が、バランスよく融合した物語となっている。(奥山)
出版社 | 静山社 |
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初版年 | 2023年 |
ISBN | |
ページ数 | 200頁 |
サイズ | 20×14 |
対象年齢 | 13歳から |
キーワード | 気候危機、デモ活動、恋愛 |
- 2023
- 200 pages
- 20×14
- Ages 13 +