イコ トラベリング1948-(読みもの)
『イコ トラベリング1948-』
著者の子どもの頃の愛称「イコ」が主人公の、『トンネルの森1945』に続く13 歳から22 歳までを描いた自伝的作品。戦争が終わり、一家は疎開先から東京の小岩に。1948 年、市ヶ谷にある女学校の中学2年に編入したイコは、通学電車の窓から、空襲で焼失した街の焦げ臭い匂いとともに復興しつつある東京の姿を目にする。道路標識は英語に変わり、ラジオの「進駐軍(しんちゅうぐん)放送」からアメリカの音楽がにぎやかに流れてくる。戦前は敵性語として禁じられていた英語の授業も始まる。アメリカ人の家を一度見てみたいと思ったイコは、女学校の近くにあった進駐軍の米軍将校の邸宅をのぞいていたところをメイドに見つかるが、2歳年上だという日本人のメイドは、こっそり屋内を案内してくれる。そこで戦勝国の人たちの驚くような豊かな暮らしを目にし、メイドが英語を話せるのにびっくり。英語を勉強して違う世界を見てみたいと強く思ったイコは早稲田大学に進学。英語学科でアメリカの女流作家について卒業論文を書いて卒業し、紀伊国屋書店に就職する。最初は雑用係だったが、編集部に来る作家たちにいろいろと刺激を受け、海外への夢が広がる。そして編集部の先輩から、ブラジルで日本語学校の先生を探していると聞き、ブラジル行きを決意し2か月間の船旅に出る。軍国主義の戦時下から民主主義へ。激動する日常に一抹の不安を抱えながらも、好奇心と冒険心で夢を実現していくイコの姿が躍動的ですがすがしい。(野上)
出版社 | 角川書店 |
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初版年 | 2022年 |
ISBN | |
ページ数 | 304頁 |
サイズ | 19×13 |
対象年齢 | 13歳から |
キーワード | 戦後、学校、世界、旅 |
- 2022
- 304 pages
- 19×13
- Ages 13 +