あした、弁当を作る。(読みもの)
『あした、弁当を作る。』
「ぼく」の名は日下部龍樹(くさかべたつき)。幼い頃は母にべったりだったが、中学生になると、「タッちゃんのお弁当を毎日作れるのがうれしい」という母がしだいに疎ましくなっていく。朝、家を出る時に、背中にそっとふれられるのもゾクッとするようになる。
「ぼく」を育てるのが生きがいだという母親にプレッシャーを感じた龍樹は、両親が共働きのマシロが、毎朝自分で弁当を作っていると聞き、自分も弁当を作ってみようと考える。彼女から作り方を聞いた「ぼく」は、駅前のスーパーの冷凍食品コーナーに初めて行った。昼休み、「ぼく」が弁当を開けたら「冷凍食品弁当の第1作?」とマシロが笑う。「男の子が弁当をつくるなんて」と母親は猛反対し、父親は「お前の仕事は勉強することで、弁当作りではない」と怒り、小遣いも取り上げてしまう。「ぼく」はパソコンで「弁当 おかず 簡単 中学生」と検索し、両親の反対を押し切って弁当を作り続け、洗濯も母任せではなく自分でしようとする。
月曜日の朝から翌週の土曜日までの13 日間を1日ごとに追い、弁当作りを通して自立に目覚めた少年の両親との葛藤が、友だちとの軽妙な会話を交えて鮮やかに浮かび上がってくる。思春期の少年の困惑に寄り添いながら、男性規範やジェンダーバイアスを突き破る視点が痛快だ。(野上)
出版社 | 講談社 |
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初版年 | 2023年 |
ISBN | |
ページ数 | 272頁 |
サイズ | 20×14 |
対象年齢 | 13歳から |
キーワード | 親子、友だち、ジェンダー、自立 |
- 2023
- 272 pages
- 20×14
- Ages 13 +