真昼のユウレイたち(読みもの)
『真昼のユウレイたち』
4人の子どもが夜中ではなく真昼に出会った幽霊の話を収録した短編集で、生きること死ぬことの意味を考えさせられる。晴海が友だちの大叔母さんの海さんの家で出会った幽霊は、9歳の小さな女の子。海さんは、その子は海で溺れて亡くなった妹の波ちゃんなのだ、と教えてくれた(「海の子」)。かすみがいじめを受けている友だちの千可を助けようと思った時、助けてくれたのは、千可が4歳の時に交通事故で亡くした両親の幽霊だった(「対決」)。春生は、公園のベンチでアメリカ人の幽霊、ダンと出会う。彼は祖母の友人で、ベトナム戦争で亡くなっていた(「願い」)。羊司は母の再婚で弟になった連が、何かを部屋に隠していることを不思議に思う。それは連が可愛がっていたが、3か月前に死んだ「舟」という名の白いネコの幽霊だった(「舟の部屋」)。
どの幽霊も怖かったり、子どもを脅かしたりする存在ではない。それぞれが生きている時につながっていた人を今も大切に思い、どこかで見守ってくれている。直接の関わりはないけれど、その幽霊の姿を見ることができ、交流する主人公の子どもたちは、皆どこか繊細で、感じやすい心を持ち、目の前に現れた幽霊を自然に受け入れる。そして幽霊との出会いをきっかけに、前向きの明るい変化が生まれる。幽霊を日常の中にさりげなく登場させ、誰かが亡くなった後も、その思いは残っていることを伝える。(汐﨑)
出版社 | 偕成社 |
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初版年 | 2023年 |
ISBN | |
ページ数 | 180頁 |
サイズ | 20×14 |
対象年齢 | 11歳から |
キーワード | 幽霊、友だち、家族、日常 |
- 2023
- 180 pages
- 20×14
- Ages 11 +