エツコさん(読みもの)
『エツコさん』
元小学校の先生で、70 代のおばあさんエツコさんは認知症。そんなエツコさんが、孫や孫の級友などの子どもたちと関わる様子を描いた連作集。
「迷子」は、引っ越したばかりの樹(たつき)が迷子になってエツコさんに出会う。エツコさんは、道案内をしてくれると言い、途中から先生の時の記憶に戻って家庭訪問をしているつもりになる。一方、樹は知らないうちに、前の学校のあたりを歩いていて、友だちと気まずい別れ方をしたことを思い出す。「雨やどり」は、エツコさんがボランティアをしていた時になついていた日菜(ひな)が、エツコさんを自宅に連れてきて、宿題をみてもらう。帰宅した姉の明里(あかり)は驚くが、エツコさんが自分の名前を呼んでくれたのでうれしくなる。「お守り」は、エツコさんのお守りを拾った航平が、エツコさんの家へ行き、エツコさんの夫の幽霊を見る。「きいろいやま」は、ユウトが2年前に公園で出会ったオオノさんという男性との交流の記憶を、エツコさんのおかげで取り戻す。「エツコさん」は、過去と現在を行き来するエツコさんが家族との誕生日会を過ごす様子が描かれ、「記憶」は、エツコさんと孫の真名(まな)が公園へ散歩に行って、真名が記憶について考える。すべての作品が「記憶」というキーワードでつながっていて、子どもたちがエツコさんと出会うことによって、自分の抱えている問題に向き合ったり、心がほっこりしたりする点が興味深い。エツコさんの生きざまも読み取れる。(土居)
出版社 | アリス館 |
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初版年 | 2022年 |
ISBN | |
ページ数 | 200頁 |
サイズ | 19×13 |
対象年齢 | 11歳から |
キーワード | おばあさん、認知症、記憶 |
- 2022
- 200 pages
- 19×13
- Ages 11 +