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ふしぎ草子(読みもの)

富安陽子 作 | 山村浩二 絵

カテゴリー: おすすめ!日本の子どもの本読みもの/chapter books and novels

『ふしぎ草子』

不思議で怪しく、少し怖い8 つの物語を収録した短編集。
「ピアノ」の舞台は放課後の小学校。使われていない音楽室からピアノの音が聞こえてくる。野中先生が行ってみると、古いピアノの横に1頭のゾウが。ゾウにうながされ、驚きながらも鍵盤に指をのせると、指が勝手に動きだし、不思議な曲を奏でる。同僚の先生から、古いピアノの鍵盤は象牙製で、ゾウの幽霊がついているという話を聞いた野中先生は、そういえば、あのゾウには牙がなかったと気づく。
「猫谷」の主人公、矢島さんはカーナビの表示に従い「猫谷温泉」に向かう。しかし山は深く、道は細くなり、季節はずれの雪まで降りだす。ようやくたどり着いた猫谷温泉の民宿に入ると、主人がコーヒーとホットケーキをふるまいながら、猫谷の地名の由来を語り始める。干ばつで食べものに困った住人が、入ることを禁止されていた山で、取ったそばからまた実がなる「猫梨」という不思議な木の実を手に入れ、飢えをしのいだ。しかし猫梨には毒があり、食べた人は満月の光を浴びるとネコになったという。胸騒ぎを覚えた矢島さんがあわてて外に出ると、猫谷温泉も雪も跡形もなく消えていた。しかし、手には「ホットケーキ(猫梨ジャムぞえ)」と書かれたレシートが残っていたのだった。
どの話も、知らぬ間に不思議な世界に足を踏み入れてしまったような、ひやりとする怖さがあり、引き込まれる。怪しげな挿し絵も物語を盛り上げる。(笹岡)

出版社 小学館
初版年 2023年
ISBN
ページ数 192頁
サイズ 19×13
対象年齢 9歳から
キーワード 幽霊、異世界、不可思議

  • 2023
  • 192 pages
  • 19×13
  • Ages 9 +