ジャングルジム(読みもの)
『ジャングルジム』
小学生を主人公にした5つの短編が入っている。「黄色いひらひら」では、ある日良太が学校から帰ると風来坊の親戚のおじさんが来ていた。定職につかず寝てばかりいるおじさんに良太は懐疑的なのだが、ふたりで時間を過ごすうちに、想像力豊かで、自然の美しさに気づき、親身に迷子の世話をしたりするおじさんに、だんだんひかれていく。「ジャングルジム」では、姉をいじめた子に、妹の小3のすみれが “ふくしゅう”を考え、ジャングルジムの高いところから飛び降りることでその子と勝負しようとする。「リュック」では、もうすぐ小学生になる一平が、離婚した父とふたりだけで暮らすことになる。いつも背負っているリュックの中のワニのぬいぐるみと会話しながら、一平は不安を抱えつつも、父との新たな暮らしと折り合いをつけようとする。「色えんぴつ」では、父が病死して以来、「おこりたいような、かなしいような、くやしいような」気持ちをいつも抱えているまみが、父のカバンの中にあった色えんぴつで父との思い出を描いていく。「からあげ」では、春木がお試し同居にやってきたおじいちゃんのことを心配する。どれも、ありふれた日常のスケッチだが、その時々に子どもが感じたこと、考えたことをじつにリアルに描写している。それぞれの子どもの個性が浮かび上がるだけでなく、登場する大人についても、ちょっとした言葉でその人の生きてきた道を伝えている。上質の文学作品といえよう。(さくま)
出版社 | ゴブリン書房 |
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初版年 | 2022年 |
ISBN | |
ページ数 | 144頁 |
サイズ | 19×14 |
対象年齢 | 9歳から |
キーワード | 家族、子どもの気持ち |
- 2022
- 144 pages
- 19×14
- Ages 9 +