恋愛問題は止まらない(読みもの)

吉野万理子 作 | satsuki 画

カテゴリー: おすすめ!日本の子どもの本読みもの/chapter books and novels

『恋愛問題は止まらない』

東郊中学では、野球部員はみんな丸刈りにするらしいという噂が広まる。監督が「部員がたるんでるから、もう指導をやめる。丸刈りにして気持ちを入れ替えるんでもなきゃ、来週からは来ない」と言ったらしい。恋愛がらみで練習に気が入らなくなっていた部員に腹を立ててのことだという。多くの女子の憧れの的である野球部キャプテンの上里孝範(うえさとたかのり)には同情する声も上がるが、やがて上里がひそかに生徒会長の綾夏(あやか)とつきあっていたらしいとわかり、バッシングの声も聞こえてくるようになる。
本書はそこをきっかけにして、1 章ごとに34 人のそれぞれ異なる人物が、自分たちの恋愛模様、恋愛観を語っていく。語り手の多くは同じ中学の生徒だが、他校の生徒もいれば、中学生に触れ合っている大人(養護教諭、野球部監督、web ディレクター、体育教師、校務員)もいる。また4 人は5 年後に登場し、その後の展開を述べる。一人称でそれぞれ断片的に語られる声は、ほかの登場人物の声ともからみあい、複数の視点を提供している。また34 人の声がコーラスのように重なる構成になっていて、最後まで読むと物語の全体像が見えてくるのもおもしろく、恋愛に関心を持つ中学生たちに考えるタネをあたえてくれる。もとが中高生向きの新聞の連載なので1 章ずつが短く、読みやすい。(さくま)

出版社 小学館
初版年 2022年
ISBN
ページ数 256頁
サイズ 19x14cm
対象年齢 13歳から
キーワード 恋愛、噂、野球

  • 2022
  • 256 pages
  • 19x14cm
  • Ages 13 +

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