博物館の少女(読みもの)

『博物館の少女——怪異研究事始め』
大阪の古道具屋の娘だった花岡イカルは両親を亡くし、明治16年、13歳で東京上野に住む遠い親戚を頼って上京する。後見人の老夫婦はしつけに厳しく息の詰まる毎日だが、ある時この家の孫で近くに住む同世代の娘トヨと友だちになる。イカルはトヨと上野見物に出かけ、初めて博物館に足を踏み入れる。そしてひょんなことから博物館の裏にある古蔵で「怪異研究」をしているという老人、織田の仕事を手伝うようになる。イカルには古物を見ぬく鑑識眼だけでなく、不思議な怪しいものを感じ取る力があった。
ある日、古蔵から「黒手匣(くろてばこ)」(黒い蓋つきの箱)がなくなっていることがわかる。古蔵送りになるのは、博物館に収蔵しないガラクタばかりだと思われていたが、織田の助手アキラと行方を探るうち、黒手匣には秘密があることがわかる。その箱は隠れキリシタンゆかりの品で、不老不死の島からきたのだという。ついにイカルたちが黒手匣を見つけ、その蓋を開けた時、世にも不思議な出来事、怪異が起きる。
激動の文明開化の時代に、好奇心旺盛な少女が、自分の能力と行動力を総動員してなぞ解きに挑み、たくましく生きる姿を描く。現実と空想が錯そうするあやかしの世界に一気に引き込まれる。舞台となった博物館は上野博物館(現在の東京国立博物館)。(汐﨑)
出版社 | 偕成社 |
---|---|
初版年 | 2021年 |
ISBN | |
ページ数 | 344頁 |
サイズ | 19x13cm |
対象年齢 | 13歳から |
キーワード | 明治時代、博物館、なぞ解き、古道具 |
- 2021
- 344 pages
- 19x13cm
- Ages 13 +