ソノリティ はじまりのうた(読みもの)

『ソノリティ はじまりのうた』
音楽は好きだが飛び抜けた才能はない、引っ込み思案で思ったことをはっきりと言えない。中学1年の早紀(さき)は、そんな自分をはがゆく思っている。なのに吹奏楽部だからという理由で、クラスで出場する合唱コンクールの指揮者に選ばれてしまった。クラスの空気はいまひとつだが、伴奏を務める幼なじみの音心(そうる)が早紀の背中を押す。バスケ部の涼万(りょうま)と晴美の協力も得て、ようやく盛り上がってきた矢先、早紀は右手首をけがしてしまう。代わりに指揮者を引き受けたのは、それまで朝練にも参加しなかったバスケ部の岳(がく)だった。コンクールでは早紀と晴美がソロパートを引き受け、クラスがひとつになって「ソノリティ」を歌い上げる。
天才的なピアノの才能の持ち主の音心は、クールに状況を判断して仲間をまとめていく。涼万は何事も器用にこなすが、夢中になれるものがない。バスケが大好きで熱い岳は涼万のプレーセンスに嫉妬する。明るく積極的な晴美も、自分が音痴だというトラウマを持っていた。もどかしさのなかで自分らしさを模索し、仲間とともに成長する等身大の中学生の姿を描く。彼らの内に生まれた淡い恋心は、どれも片思いですれ違う。内気な早紀が岳に告白するシーンは切なくもあるが、人を好きになりまっすぐに伝える姿にさわやかな読後感が残る。(汐﨑)
出版社 | KADOKAWA |
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初版年 | 2022年 |
ISBN | |
ページ数 | 256頁 |
サイズ | 20x14cm |
対象年齢 | 13歳から |
キーワード | 中学生、合唱、友情、恋 |
- 2022
- 256 pages
- 20x14cm
- Ages 13 +