セカイを科学せよ!(読みもの)

『セカイを科学せよ!』
創立50 年の伝統を持つ堤中学の科学部。かつては化学班と生物班もあったが、今は電脳班だけが残り、楽な部活動をしたい生徒が集まっている。部員の藤堂ミハイルの父は日本人、母はロシア人で見た目は白人系の外国人だ。特別視されるのが苦痛で、目立たずに過ごしたいと思っていたのに、2 年生になり「部長代理」に抜てきされてしまう。
ある日、ミハイルのクラスに父がアフリカ系、カーリーヘアーで大柄な山口アビゲイル葉奈が転校してきた。「かっこいい黒人」を期待する皆の前で葉奈は堂々と、自分は日本生まれの日本人で、日本語しかできず、運動神経はゼロ、と宣言する。さらに好きなものはムシ、それも昆虫限定でない「蟲(むし)」、という言葉に皆は一気にひく。その葉奈が科学部に入部して生物班を復活し、「蟲」の飼育を始める。部は大混乱になるが、葉奈の「蟲」へのひたむきな愛と、めげない姿は次第に周りを巻き込んでいく。嫌われがちな「蟲」の生態を豆知識的に盛り込み、やる気ゼロだった科学部に活気が満ちていく様子をユーモアたっぷりに描く。それぞれ個性的で癖がある科学部の部員が外観や中身の違いをこえてお互いを認め、一致団結してミジンコの観察と研究をする光景には目を見張る。ミハイルがき然としてロシア語を叫ぶラストシーンも心に残る。(汐﨑)
出版社 | 講談社 |
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初版年 | 2021年 |
ISBN | |
ページ数 | 240頁 |
サイズ | 20x14cm |
対象年齢 | 13歳から |
キーワード | 蟲(むし)、クラブ、外国ルーツ、仲間 |
- 2021
- 240 pages
- 20x14cm
- Ages 13 +