スネークダンス(読みもの)

佐藤まどか 作 | 丹地陽子 画

カテゴリー: おすすめ!日本の子どもの本読みもの/chapter books and novels

『スネークダンス』

主人公の杏里圭人(あんりけいと)は日本人の両親を持つ少年だが、イタリアのローマで生まれ育ち、古い美術品や建造物にも造詣が深い。半年前に父が死去したことから、母と一緒に日本に帰り、東京の祖父母の家に住むことになる。公立中学の2年生に転入した圭人は、慣れない環境の中で、静かに目立たずに生きようと決める。そんなある日、スプレー缶を持った者が、取り壊し予定の建物に落書きしているところを目撃する。
その落書き犯は、隣のクラスの女子、山中歩(あゆむ)だった。歩は、弁護士の父親とその再婚相手を憎んで祖母と暮らしており、古い木造建築を取り壊すのに抗議してグラフィティを描いていたのだった。圭人は歩と言葉を交わすようになり、衝撃を受けながらもひかれる。圭人が木造は耐震性に問題があると言うと、歩は、日本にも法隆寺の五重塔など木造なのに1300 年壊れていない建築物があることを話してくれる。揺れに抵抗するのではなく、揺れを吸収するように一緒にくねくねと揺れることを建築でもスネークダンスと呼び、そういう構造だと地震がきても倒壊しないですむのだという。イタリアと日本の文化や価値観の違いに、人間の生き方を重ねた表現が興味深いし、アウトロー的な歩が圭人の殻をどんどん壊していくのもおもしろい。日本の文化を見直すきっかけも与えてくれる。(さくま)

出版社 小学館
初版年 2022年
ISBN
ページ数 256頁
サイズ 19x14cm
対象年齢 13歳から
キーワード 文化比較、木造建築

  • 2022
  • 256 pages
  • 19x14cm
  • Ages 13 +

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