少年時代(読みもの)

『少年時代——飛行機雲はるか』
昭和30 年代、東北の町で暮らす少年たちの1年間を、みずみずしい筆致で描く。春、本好きの小5の明夫は、仲間と「三銃士」を結成する。ちょうどその頃、隣町の子ども会との間で、遊び場をめぐる争いが勃発。リーダーの中学生のもとに集結した明夫たちは、チャンバラごっこで「決闘」に挑む。年齢構成や人数で圧倒的に不利な明夫たちだったが、綿密な作戦のもと健闘し、引き分ける。夏には、川の大ナマズを捕らえようと、手作りの水中銃に改良を重ねたり、身近な材料で本格的な望遠鏡を作ったりする。秋になると、敵だった隣町の子ども会の解散が決まり、季節恒例の「鍋っこ遠足」を合同で行う。そして冬、明夫たちの町の子ども会も、小中学生が分かれて活動することになり、「決闘」の陣地として代々受け継いできた「砦」を自分たちで解体する。
豊かな自然や、少年たちの手仕事が、丹念に描写される。現代では馴染みのないものもあるが、科学絵本を多く手がける画家による緻密な挿し絵が、想像を助ける。地域の小中学生が年長者を中心にまとまり、知恵を出し合い、生き生きと遊ぶ。時代とともに失われてしまったものへの愛情が伝わり、当時を知らない世代の読者でも不思議と懐かしい気持ちになる。読後、一抹の寂しさとすがすがしい余韻が残る。(笹岡)
出版社 | 理論社 |
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初版年 | 2022年 |
ISBN | |
ページ数 | 416頁 |
サイズ | 20x14cm |
対象年齢 | 13歳から |
キーワード | 自然、四季、友だち、遊び |
- 2022
- 416 pages
- 20x14cm
- Ages 13 +