いのちの木の あるところ(読みもの)

新藤悦子 作 | 佐竹美保 絵

カテゴリー: おすすめ!日本の子どもの本読みもの/chapter books and novels

『いのちの木の あるところ』

トルコの世界遺産「ディブリーの大モスクと治癒院」を訪れた著者は、その巨大な冠門と、そこに施された緻密な浮彫文様に魅せられる。そして、今から約800 年昔の辺ぴな山間の小さな町を舞台に、それを建設させた王と王妃を中心にした壮大な歴史物語を紡ぎ出す。好奇心にあふれ、物語にあこがれる向こう見ずなトゥーラーン王女。彼女は、まるで運命に導かれるかのように、山奥の小さな王国であるディブリーに誘われ、アフマドシャー王子と出会う。ふたりは何故どのようにして美麗なモスクを造ったのか。秘境の町に出入りする、隊商や遊牧民や戦火を逃れた腕利きの職人たち。大モスクと治癒院をめぐる多くの人びとを交え、壮大な大モスクと華麗にして緻密な冠門の浮彫文様が作られていく。
ドラマチックな物語展開で、500 ページを超える大長編にもかかわらず、息をつく間もなく読める。王国同士がいがみ合う戦乱の中で、人びとは伝説の「いのちの木」に何を願ったのか。そして、冠門が未完のままだったのは何故か。謎の多い遺跡を舞台に繰り広げられる歴史物語から、戦争のない平和な世界への願いが伝わってくる。豊富に挟み込まれた挿し絵は、その時代考証だけではなく、破壊された文様までも画家の創造的想像力によって緻密に復元されて、物語のリアリティーを増幅させる。(野上)

出版社 福音館書店
初版年 2022年
ISBN
ページ数 528頁
サイズ 22x16cm
対象年齢 13歳から
キーワード トルコ、世界遺産、職人、王家、戦争

  • 2022
  • 528 pages
  • 22x16cm
  • Ages 13 +

本を探す/book search