病院図書館の 青と空(読みもの)

『病院図書館の 青と空』
父親の仕事の都合で、小学5年生の2学期に隣の市の小学校に転校した空花(そらは)。彼女は人一倍読書好きなのだが、近くに本屋さんも図書館もないし、学校の図書室も倉庫みたいで本棚にはほこりが溜まっている。クラスメートは本にまったく興味はないし、なんとなく怖そうで親しめない。
そんな空花が、急性腎炎で入院することになる。ところがその病院に、小さいけれど素敵な図書館があったのだ。空花は、そこで前の学校で読んだ名作全集の『長くつ下のピッピ』を見つけ、ピッピがジンジャークッキーを焼くページを開く。すると、焼き立てのクッキーの香りがしてきて、挿し絵の端から青い色の服を着た少女が現れ、空花に話しかけてくる。少女は青い色が大好きで、名前は「アオ」だという。夢なのかと思うが、次の日に『小公女』の頁を開くとまたアオが現れ、空花は本のなかに引き込まれ、ふたりは物語に出てくる食べものについて熱く語り合う。ちょっと無神経で口の悪いアオに、『赤毛のアン』『メアリ・ポピンズ』などの物語の中に誘われ、彼女との交流を通して空花の性格も微妙に変化する。空花はずっと病院にいたいと願うのだが、退院して学校に戻ると、仲よくできないと思っていた級友たちの優しさや親切に気づかされる。虚実が不明な謎の少女の正体が明らかになる意外なラストはドラマチックで感動的だ。(野上)
出版社 | 講談社 |
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初版年 | 2022年 |
ISBN | |
ページ数 | 224頁 |
サイズ | 20x14cm |
対象年齢 | 11歳から |
キーワード | 読書、世界名作、友だち、病院、図書館 |
- 2022
- 224 pages
- 20x14cm
- Ages 11 +