ちいさな宇宙の扉のまえで(読みもの)

いとう みく 作 | 佐藤真紀子 絵

カテゴリー: おすすめ!日本の子どもの本読みもの/chapter books and novels

『ちいさな宇宙の扉のまえで―—続・糸子の体重計』

前向きで明るい細川糸子とクラスメート4 人が各章の語り手となり、5つの物語で6 年生の毎日を伝える。同じ形式で5 年生時代を描いた『糸子の体重計』の続編。
盲腸で入院した糸子が久しぶりに登校すると、転校生の日野恵(ひのめぐみ)がいた。糸子は恵に始終まとわりつかれて戸惑うが、彼女の良さも素直に認めていく(ディスタンス)。恵は「天真爛漫な不思議ちゃん」を装い、「モノ」で人をつろうとするが、それでは本当の友だちは得られないと気づく(リセット)。恵は冷静で強い意志を持つ町田良子(りょうこ)が苦手だが、良子にも悩みはある。良子はプロのバレリーナをめざしているが、オーディションと修学旅行の日が重なってしまい、考えあぐねる(チョイス)。良子を大好きな坂巻まみは、自分の感情が友情とは異なる特別なものではないかと思い詰める(レインボー)。一見明るく元気な滝島径介(けいすけ)は、ふたり暮らしの母に再婚話が浮上し、自分はお荷物なのかもしれないと考え始める(グッバイ)。
彼らはささいなことに悩み、時には逃げ、嫉妬し、傷つけ合う。しっかりと相手を見て素直に思ったことを口にする糸子の存在と行動が魅力的で、物語を明るい方向に導く。失敗しても、失望しても、くじけず前を見て、一歩を踏み出す決意を述べる卒業式の良子の答辞が心に残る。(汐﨑)

出版社 童心社
初版年 2022年
ISBN
ページ数 312頁
サイズ 20x14cm
対象年齢 11歳から
キーワード 6年生、学校、友だち、卒業

  • 2022
  • 312 pages
  • 20x14cm
  • Ages 11 +

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