ソロ沼のものがたり(読みもの)

『ソロ沼のものがたり』
見渡す限りの平野を流れる大きな川をさかのぼると、風も止まり音も消える暗い森の奥に赤黒い沼がある。昔、遠い国からたくさんの大きなカエルが沼にやってきて賑やかに暮らしていたが、小さな生きものを食べつくした後、共食いにより生き残った1匹が、今では大きな洞穴のある巨大なソロの木とともに、沼の守り神になっている。洞穴は、風を吸い込むこともあり、シカやイノシシが知らずにその前を歩くと、「ひょう」という音がして、穴に吸い込まれ二度と出てこられなくなる。まるで神話を思わせるような神秘的な伝説のソロ沼が物語の舞台となる。3日前に生まれ、沼の水面を素早く走り回っているミズスマシは、川を下り海に出て波頭に無数に並び、青い空に吸い込まれるように消える。素晴らしいと評判のオケラ先生の学校に通うことになった、頭でっかちでチビのバッタ小僧が、完全変態してたくましく成長する。ジャコウアゲハやギンイロテントウムシの話。ヤンマの仲間たちの命を懸けたスピード競争。オサムシの戦争。昆虫の生態絵本で人気の画家が、ソロ沼にすむさまざまな昆虫や小動物たちの生態を取り込んで擬人化し、生きものたちが演じる弱肉強食の、生と死を懸けた壮大で特異なファンタジーを作り出す。物語の背景となる自然や植生を繊細に描いた挿し絵を豊富に挟み込んだ造本も素晴らしい。(野上)
出版社 | 岩波書店 |
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初版年 | 2022年 |
ISBN | |
ページ数 | 184頁 |
サイズ | 19x16cm |
対象年齢 | 11歳から |
キーワード | 自然、生きもの、生存競争、生と死 |
- 2022
- 184 pages
- 19x16cm
- Ages 11 +