ケケと半分魔女(読みもの)

『ケケと半分魔女——魔女の宅急便 特別編その3』
「魔女の宅急便」3 巻目には、とがった態度をとるものの、「その裏にはさびしさや、不安や、自信のなさを抱えている」少女ケケが登場していた。本書は、そのケケが大人になってから書いた物語という体裁になっている。その物語の主人公は、ケケに似た少女タタ。母親はタタが4歳のときに亡くなり、父親とおばさんに育てられている。いつも自分は「半分」だと感じて満ち足りない思いを抱えているタタは、ある日、屋根裏部屋で母親の遺品を見つけ、「あなたのはんぶん あなたがさがす」と歌う声を聞く。
その後「ヤマアラシの針みたいにとんがって」不良少女と言われるようになったタタは、もうすぐ15 歳という時、母の遺した『おわりのとびら』の本を抱えて家出し、時間が行ったり来たりする「たいせつなものを探してる人の森」をひとりでさまよう。そしてその森で、一緒に歌った女の子を探しているノビノくん、おばあちゃんの「ちゃんとした名前」を探しているヒロッコちゃん、お店を開いているクラエさんなど、不思議な人たちに出会う。
思春期の少女が不安な気持ちで自分探しをする様子を、ファンタジーの要素も借りて寓話的に描いた作品。作者の洞察力に支えられているので、ただの不思議な話に終わらず、読者の心に響く物語になっている。(さくま)
出版社 | 福音館書店 |
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初版年 | 2022年 |
ISBN | |
ページ数 | 248頁 |
サイズ | 21x16cm |
対象年齢 | 11歳から |
キーワード | さがしもの、不思議、森、思春期 |
- 2022
- 248 pages
- 21x16cm
- Ages 11 +