金曜日のヤマアラシ(読みもの)

『金曜日のヤマアラシ』
小学6年生の長谷部詩(うた)は、2年前に母を病気で亡くし、おもちゃ会社専属のフィギュア原型師をしている父親の朔太郎とふたりで暮らしている。ふたりは「ウタ」「さくちゃん」と呼び合う仲のよい友だち親子だ。さくちゃんは忙しいのに毎日ちゃんとご飯を作ってくれ、ウタも学校であったことをさくちゃんに話す。新学期にウタのクラスにサッカーが得意な桐林敏(びん)が転校生としてやってくる。声をかけても「うっせーなー」とにらんできて、トゲトゲしているので、まるでヤマアラシみたいだと、ウタはさくちゃんに不満気に言う。
ヤマアラシのフィギュアを作ったことがあるさくちゃんは、ある哲学者の言った「ヤマアラシのジレンマ」について話す。2匹のヤマアラシは寒かったのでぴったりくっつこうとしたらトゲが痛くてたまらない。そこでお互いの体温が感じられるくらいの距離を取ったというのだ。さくちゃんは、敏に興味を持ち、彼の話を詳しく聞きたがる。それで毎週金曜日に、ウタは敏のことをさくちゃんに報告することにした。ウタはサッカー選手を目指している敏が、リフティングの回数を記録するのにつき合い、級友たちからふたりの仲を怪しまれる。ところが、周囲から孤立気味の敏の機転で、クラスの融和が図られることになる。その結末がとてもさわやかだ。(野上)
出版社 | アリス館 |
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初版年 | 2022年 |
ISBN | |
ページ数 | 220頁 |
サイズ | 20x14cm |
対象年齢 | 11歳から |
キーワード | 親子、友だち、フィギュア、サッカー |
- 2022
- 220 pages
- 20x14cm
- Ages 11 +