風の神 送れよ(読みもの)

『風の神 送れよ』
優斗が住む長野県南部の地域では、「コト八日」という伝統行事が毎年2月8日あたりの寒い時期に行われる。1日目は、夕方から念仏を唱えて村の家々を回り、コトの神(疫病神)を象徴する幣束や笹竹などを集める「コト念仏」。2日目は、集めた幣束や笹竹を村の外に捨てに行き、疫病神を追い出す「コトの神送り」。この行事の準備から実行まですべてを担うのは、村に住む小3から中1までの子どもたちだ。
今回の「コト八日」は、しっかりしている中1の凌が責任ある頭取をつとめ、面倒くさがり屋でたよりないと思われている小6の優斗が年齢順で補佐役をすることになっていた。ところが本番3日前に凌が骨折してしまい、優斗が急きょ代役を務めなければならなくなる。優斗は自信がなく不安でいっぱいだ。中止になればいいと思ったりもするが、コロナを退散させるためにも行事は実施されることになる。
昔からずっと伝わってきた行事を通して歴史の重みを感じ、老人から話を聞いて地域の一員であることを自覚し、雪やみぞれやけがや言い争いなどさまざまな困難を乗りこえ、助け合ってひと回り大きく成長していく子どもたちの姿が生き生きと描かれている。ちなみに著者は、今も実際に行われているこの行事を見て心を動かされ、物語にしたという。(さくま)
出版社 | 小峰書店 |
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初版年 | 2021年 |
ISBN | |
ページ数 | 196頁 |
サイズ | 20x14cm |
対象年齢 | 11歳から |
キーワード | 伝統行事、神様、疫病 |
- 2021
- 196 pages
- 20x14cm
- Ages 11 +