ひろしまの満月(読みもの)

『ひろしまの満月』
広島に引っ越してきたかえでは、庭の池で言葉が話せるカメの「まめ」に出会う。「いつからここにいるの。どうして、まめは、まめっていうの?」というかえでの問いに、まめは、過去の思い出を語る。お寺の大きな池で暮らしていたまめは、中学生のみのるに釣り上げられ、お弁当箱に入れられる。みのるは、妹のまつこが引っ越しばかりで友だちがいないのを心配して、まめを連れて帰った。それから、まつことまめは友だちになる。
原爆が落ちた日、みのるは、川岸での作業のために、朝早くからお弁当を持って、ちょっと欠けた陶器のボタンがついた制服を着て出かけていた。みのるがいつまでたっても帰ってこないため、おかあさんはまつことまめを置いて町にみのるを探しに行く。おかあさんは、町に通い続け、原爆投下から17 日目に、みのるのお弁当箱とボタンだけを持って帰ってくる。おかあさんとまつことまめは満月を見ながらみのるを思って涙を流し続け、涙がかれた時、まめは「みのるくん」と声を発した。
カメの語りによって、かえでがまつこの視点で、兄の死や母の悲しみを追体験できるように描かれ、戦争のむごさが伝わってくる。柔らかなタッチで描かれた挿し絵からも情景を思い浮かべることができる。(土居)
出版社 | 小峰書店 |
---|---|
初版年 | 2022年 |
ISBN | |
ページ数 | 64頁 |
サイズ | 22x16cm |
対象年齢 | 7歳から |
キーワード | 広島、原爆、亀、満月 |
- 2022
- 64 pages
- 22x16cm
- Ages 7 +