かせいじんの おねがい(読みもの)

『かせいじんの おねがい』
友だちの家から帰る途中、ぼくは変なおじさんに声をかけられる。おじさんは火星人だと言い、火星人は、よりよい火星人になるために、暇さえあればいろいろな修行をするのだと言う。一言もしゃべらないでうなずくだけとか、他の人が残した物しか食べないとか、それ以外の変な修行の数々が、作者自身による挿し絵にも描かれていて笑ってしまう。それらのなかでも、最高の修行は、火星の1年にあたる687 日のあいだ、地球人の振りをして地球で修業を積み、最後に正体を明かした人の協力で火星に帰ることだと言う。火星人は嘘がつけないし、けんかもしない。人を信じて仲よくする。そうしないと火星では生きていけないのだ。
ところが、地球人は平気で嘘をついたり、人をだましたり、争ったり、戦争までしてしまう。争いやだまし合いがいっぱいある地球で暮らし、嘘やけんかの味を覚えても、火星に帰ったら元のように人を信じて仲よく暮らしていくのだそうだ。おじさんの話を聞いていると、地球人は野蛮な生きもののように思える。おじさんはぼくに正体を明かしたのだけど、ぼくはおじさんを火星に帰すことができなかった。ところが、ある夕方、おじさんがギターを背負った若者と手を取り合って、そのあとキラキラと光りながら天に消えていく光景を目にする。ユーモラスでほのぼのとした挿し絵によるナンセンスなお話を楽しみながら、愛と平和の大切さが伝わってくる絵童話だ。(野上)
出版社 | 童心社 |
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初版年 | 2021年 |
ISBN | |
ページ数 | 72頁 |
サイズ | 20x16cm |
対象年齢 | 7歳から |
キーワード | 宇宙、虚実、戦争、愛、平和 |
- 2021
- 72 pages
- 20x16cm
- Ages 7 +