IBBY記者会見②:IBBY朝日国際児童図書普及賞とIBBY-iRead読書プロモーター賞
2026年4月21日
4月13日(月)、国際児童図書評議会(IBBY)は、イタリアで開催されているボローニャ・ブック・フェアの会場で記者会見を行い、IBBY各賞の受賞者を発表しました。授与式は、2026年8月にカナダのオタワで開催される「第40回IBBY世界大会」で行われます。
記者会見の動画は、IBBYのYouTubeチャンネルでご覧いただけます。▶▶
国際アンデルセン賞についてはコチラ▶▶
IBBY朝日国際児童図書普及賞

1986年に、日本の朝日新聞社の協力で創設された、子どもの読書普及に大きな成果をあげた団体に贈られる賞です。2022年は、アメリカ合衆国、アルゼンチン、イラン、インド、エクアドル、エチオピア、オランダ、カナダ、スロベニア、チリ、デンマーク、ドミニカ、フランス、ベルギー、南アフリカで活動する18団体が候補にあがりました。受賞団体には、活動資金として1万ドルの賞金が贈られます。
■ 2026年受賞者
フィリピンの「Hooked on Books(本に夢中)」プロジェクト
― LINKS Philippines Hooked on Books Program ―

IBBYフィリピン支部推薦による LINKS Philippines Hooked on Books Program は、IBBYの理念を体現する優れた取り組み。リテラシー教育に、創造性や市民参加、さらには金融リテラシーまでを組み合わせたユニークなプログラム。
フィリピン人作家による物語を、ストーリーテリングや演劇、価値観を育むワークショップと結びつけることで、恵まれない環境にある子どもたちに、自分たちの文化に根ざした本を届ける。そして読書を、共感力や想像力、市民としての意識を育てる、楽しく力強い体験へと変えていく。
2017年の開始以来、LINKSは25の図書館を設立し、21,600人以上の子どもたちに機会を提供し、1,000人以上の教育者やボランティアを育成してきた。子どもだけでなく、保護者や教師、地域の人々までを巻き込むそのアプローチは、本を通じた人間的成長というIBBYの意図と合致する。
さらに、地方自治体や学校、寄付者、NPOなど多様なパートナーと連携し、「責任を分かち合う」仕組みを築いている点も特徴的で、結果、コストを抑えながら地域の主体性を引き出し、持続可能な活動を実現している。様々な地域で応用可能な実効性の高いモデルといえる。
審査委員会は、この受賞がプロジェクトのさらなる発展を後押しすると確信すると伝えた。
■ 2026年審査員
審査委員長
Elisabetta Lippolis(イタリア)/ Jane O’Hanlon(アイルランド)
審査員
Tobechukwu Anyachebelu(ナイジェリア)/ Charalambos Demetriou(キプロス)/ Hazel Hernández(コスタリカ)/ Luis Zendrera(スペイン)
■ 2026年ノミネート
「Poesía en la Escuela」アルゼンチン支部推薦
「Forest of Reading」カナダ支部推薦
「Latin American Network of Mediators」コロンビア支部推薦
「Agence quand les livres relient」フランス支部推薦
「Children’s Cultural Development Center」イラン支部推薦
「Nuvem Vitoria」ポルトガル支部推薦
「Slovene Reading Badge Society」スロベニア支部推薦
「Time of Heroes」ウズベキスタン支部推薦
IBBY-iRead読書プロモーター賞

IBBYと中国のiRead基金が2020年に創設したまだ新しい賞です。子どもの読書活動に貢献し、社会に多大な影響を与えた個人を対象に贈られます。隔年でふたりずつ受賞し、賞金の一部は、受賞者が指定する非営利団体にも贈られます。2026年は、●人の候補者のなかから下記のふたりに贈られます。
- IBBYのプレスリリースはコチラ(英語)▶
■ 2026年受賞者
Kirsten Boie(キルステン・ボイエ/ドイツ)
Namita Jacob(ナミタ・ジェイコブ/インド)

Kirsten Boie
キルステン・ボイエ(ドイツ)
子どもの「読む権利」を力強く訴え続けてきた作家であり、長年にわたる読書推進活動を通して大きな影響を与えてきた。物語・教育・社会活動を横断するアプローチにより、文学を社会への気づきを促す力として位置づけ、包摂性や多様性の実現に貢献している。
また、財団の設立や長期的なパートナーシップを通じて、読書をめぐる社会的な仕組みづくりにも取り組んできた。教育への平等なアクセスこそが自己実現につながるという信念のもと、ドイツ国内外、特にエスワティニにおいて幅広いネットワークを築いている。
その強みは、状況に応じて柔軟に手法を変えられる点にある。テクノロジーを活用できる場面では積極的に取り入れ、資源が限られた環境では創意工夫で対応し、高い効果と再現性を両立している。さらに、経験やノウハウを広く共有し、多くの教育者や読者に影響を与え続けてきた。

Namita Jacob
ナミタ・ジェイコブ(インド)
35年以上にわたり障害インクルージョンに取り組んできた専門家。とりわけ視覚障害や聴覚障害、盲ろうの子どもたちのニーズに向き合ってきた。チェタナ・トラストを通じて、「アクセシブル読書資料ライブラリー」など、地域主体でコンテンツを生み出す持続可能な仕組みを築いてきた。
彼女の考え方の中心にあるのは、「資金ではなく人に投資する」という理念だ。人の力こそが持続可能性を支えるという信念のもと、触覚絵本の制作者の育成やボランティアネットワークの構築を進め、特定の個人に依存しない活動基盤を確立してきた。
その取り組みは地域を超えて広がり、スコットランドやシンガポールなど国際的な場でも展開されている。分野を越えた連携によって、読書環境そのものに変化をもたらしている点も大きな特徴。
審査委員会は、ジェイコブの、強固な仕組みと協働のネットワークを築く卓越した力を高く評価した。
■ 2026年審査員
審査委員長
Elisabetta Lippolis(イタリア)/ Jane O’Hanlon(アイルランド)
審査員
Tobechukwu Anyachebelu(ナイジェリア)/ Charalambos Demetriou(キプロス)/ Hazel Hernández(コスタリカ)/ Luis Zendrera(スペイン)/ Wen Li(中国iRead基金)
■ 2026年ノミネート
Verónica Parodi(アルゼンチン)
Nianzu Li(中国)
Despina Heracleous(キプロス)
Murti Bunanta(インドネシア)
Ali Asghar Seidabadi(イラン)
Maria Consuelo Doble(フィリピン)
Maurício Corrêa Leite(ポルトガル)
Slavko Pregl(スロベニア)
Zulfiya Seytniyazova(ウズベキスタン)
