IBBY会長より、2024年新年のメッセージ
2024年1月15日
IBBY会長シルヴィア・ヴァーデルさんより、新年のあいさつが届きました。
IBBYの仲間のみなさまへ
新しい年がはじまりました。みなさまにとって、良いことがたくさんありますように。2023年はIBBYにとって難しい問題も起きましたが、わたしたちはともに乗り越えてきました。11月に行なわれた臨時総会は成功裏に終わり、約款を見直す委員会が動きだしました。わたしたちは、ウクライナや中東の戦争の中にいる仲間と悲しみをともにし、貧困、紛争、飢饉、災害のただ中で活動している仲間のことを案じています。チルドレン・イン・クライシスの近年の支援先であるIBBYレバノン支部、トルコ支部、ウクライナ支部をはじめ、さまざまな場所へのサポートに引き続き力をいれていくつもりです。わたしたちは活動をともにしながら、希望をいだき未来を見つめています。
フィリピン、エチオピア、ナイジェリア、モロッコ、ラオスに支部ができ、IBBYはさらに大きな団体となりました。4月のボローニャ・ブックフェアで国際アンデルセン賞、IBBY朝日国際児童図書普及賞、IBBY-iRead読書プロモーター賞が発表されるのを、わたしたちは胸をふくらませて待ちつつ、次のIBBYオナーリスト、IBBYバリアフリー児童図書、IBBYサイレント・ブックスの準備を進めています。またチルドレン・イン・クライシスのプロジェクトのひとつでもある、REFORMA(補足:スペイン語やラテンルーツの本をもっと普及させようとするアメリカ図書館協会の一部門)の活動に力を注いできたアメリカのパトリック・サリバン氏に、イエラ・レップマン・メダルが授与されたことをとてもうれしく思います。
2023年には、会員として長年IBBYの歩みを見守ってきた作家・ストーリーテラーのアン・ペロウスキー氏の悲しい訃報がありました。ペロウスキー氏は1955年から1956年までミュンヘン国際児童図書館に滞在し、レップマンとともに働いています。チェコの著名なアーティスト、クヴィエタ・パツォウスカー氏の訃報にも、心より哀悼の意を表したいと思います。パツォウスカー氏は1992年、絵本芸術における大きな功績に対し国際アンデルセン賞画家賞を受賞しました。IBBYホームページのシンボルイラストとして愛されている「IBBYねこ」を描いたのも、パツォウスカー氏です。IBBYのすばらしい会員であり、長きにわたりウガンダ支部の会長を務めてきたエヴァンジェリン・レディ・バロンゴ氏の訃報も心にきざまれました。
2024年8月30日から9月1日まで、イタリアの美しい町トリエステでIBBY世界大会が開催されます。「変革に参加しよう! すべての子どもにすぐれた本を」という、非常に興味深いメインテーマが掲げられた大会を、大変楽しみにしています。さまざまなプログラムや授賞式のほか、みなさんと顔をあわせて言葉をかわせるのは喜ばしいことですし、きっと忘れがたい大会になるしょう。くわしい情報と申込については、大会のウェブサイトをごらんください。早期申込割引は3月31日までです。研究発表の申込は間近にせまっています。
スポンサーからの支援はこれまで以上に必要とされています。いつも多大なご支援を賜っていることに、厚く御礼申しあげます。ナミアイランド、朝日新聞社、深圳iRead基金、山田養蜂場、CCPPG、安徽出版社のほか、IBBYの活動を支援してくださっている個人や出版社、会社や組織の方々に心から感謝します。みなさまのサポートはわたしたちにとって、とても大切なものです!
IBBY本部は世界中の会員の活動を促進し、子どもの本の分野においてIBBYが世界的に大きな力を発揮できるようなプログラムを行っています。4月2日の国際子どもの本の日のために、日本支部は美しいポスターと、「物語をつばさに 想像を力に あらたなはじまりへ」というメッセージを作成しました。2023年のポスターとメッセージを作成したギリシャ支部、作家のヴァゲリス・イリオプロス氏と画家のフォティニ・ステファニーディ氏にも、あらためて感謝申しあげます。
機関紙『ブックバード』は、クリソゴノス・シッダ・マリラン氏の細やかな編集の下、これからも年4回刊行されます。アルゼンチンのハカランダ出版が、スペイン語の『ブックバード』をオンラインで刊行しはじめたのは、うれしいニュースでした。
今後のIBBYの活動、とくにIBBY世界大会を楽しみにしています。そしてまた、困難な状況の中で苦しみ、奮闘している仲間たちに思いを寄せたいと思います。わたしたちはともに活動する中で、世界中の子どもたちにすぐれた本を手渡すという使命をもちつづけ、それを果たすことができるのだと信じています。
IBBY会長 シルヴィア・ヴァーデル