IBBYオナーリスト

 「IBBYオナーリスト」は、子どもの本を通しての国際理解を提唱するIBBY(国際児童図書評議会)が、1956年から隔年で発行している、世界的に権威のある児童書リストです。文学作品・イラストレーション作品・翻訳作品の3部門があり、IBBYに加盟する国と地域が、2年に一度、ほかの国でも読んでほしいすぐれた子どもの本を選び推薦します。IBBY日本支部であるJBBYも、毎回選考会を実施して、日本を代表する作品を推薦しています。

 このリストは、世界中の翻訳出版関係者にとって、すぐれた児童書発掘のデータベースになります。また、ほかの国の子どもたちが成長の過程でどんな本を読んでいるかという情報は、国際理解・多文化理解を進めるうえで大変興味深い資料にもなります。

【沿革】IBBY(国際児童図書評議会)は、1953年、「国際アンデルセン賞」の創設とともに、各国の優れた児童書を集め「Hans Christian Andersen Honour List」を作成することにしました。これが現在の「IBBYオナーリスト」の前身です。当初は国際選考委員が審査をしましたが、やがて、各国支部から推薦された作品のすべてをリストに載せて顕彰するようになりました。1974年に、「文学作品」と「イラストレーション作品」の部門が分かれ、1978年に「翻訳作品」部門が加わって3部門になり、1980年には、英文名称を「IBBY Honour List」に変更しました。現在は、IBBYに加盟する国と地域が、過去3年以内に自国で出版された児童書の中から、世界の子どもたちに読んでもらいたい、それぞれの国の特徴をもつ最も優れた作品を選んで推薦しています。選ばれた作家、画家、翻訳家には、隔年で開催されるIBBY世界大会において賞状が授与されます。
 第1回(1956年)は、12カ国15作品でしたが、2018年は、過去最高の61の国と地域から191作品が推薦されました。言語の数は50にのぼり、ガーナのハウサ語、ロシアのヤクート語の作品が新たに加わりました。さらに、直近の2020年は、ペルーのケチュア語、南アフリカのツワナ語、オーストラリアのヴォイワルン語が加わり、世界中で、希少言語の作品や文化に触れるチャンスが広がっています。

 JBBYは、1989年から、IBBYオナーリストに選ばれた各国の作品をIBBYから取り寄せ、全国の図書館や学校などで「世界の子どもの本展」を開催しています。開催にご関心のある方は事務局までご連絡ください。

 また、JBBYは、IBBYオナーリストに選ばれた作家・画家・翻訳家・各出版社に「JBBY賞」を贈っています。