【10月1日 記者会見】

 10月1日、出版クラブ「クラブ ライブラリー」での「世界の子どもの本展」開催を記念して記者会見を行いました。

① 世界の子どもの本展とIBBYオナーリスト

 冒頭、クラブライブラリーの責任者で平凡社社長の下中美都氏が、ライブラリーの沿革や意義の説明とともに、ちょうど1年前、出版クラブビルのオープニングイベントが、JBBYによる、角野栄子さんの「2018年国際アンデルセン賞作家賞」受賞を祝う会だったことなどを懐かしくお話しくださいました。

 続いて、さくまゆみこ会長が、IBBYに80番目の支部としてカメルーンが加盟したこと、IBBYの発足当初から、「国際アンデルセン賞」と並んで「IBBYオナーリスト」(世界のすぐれた児童書のリストアップ)のプロジェクトがあったこと、オナーリストの歴史、JBBYが、日本の作品をIBBYに推薦し、同時にIBBY各支部が選んだ世界のすぐれた児童書を図書展やカタログを通じて国内に発信し続けていることなどを話しました。

下中美都さん
さくまゆみこ会長

 ゲストとしてあいさつをしてくださった国立国会図書館国際子ども図書館の寺倉館長は、チュニジアの絵本とスイスの画家パウル・クレーのエピソードを披露。
 また、記者からの「特におすすめの本は」というリクエストに応え、宇野副会長がチリの文学作品『アラメダ通りの南』を、さくま会長がオーストラリアの絵本『ティーカップ』を、広松理事がブラティスラヴァ世界絵本原画展のグランプリを受賞したオランダの画家の絵本『鳥たち』を紹介しました。

寺倉館長
宇野和美さん
広松由希子さん
司会進行は、野上副会長

② 2020年「IBBYオナーリスト」に日本から推薦する作品

 記者会見では、2020年IBBYオナーリストに、日本から推薦する作品も発表しました。

  • 文学作品: 梨屋アリエ『きみの存在を意識する』ポプラ社
  • イラストレーション作品:たむらしげる『よるのおと』偕成社
  • 翻訳作品:西村由美『青い月の石』岩波書店
文学作品
梨屋アリエ『きみの存在を意識する』ポプラ社
イラストレーション作品
たむらしげる『よるのおと』偕成社
翻訳作品
西村由美『青い月の石』岩波書店

 文学作品部門に選ばれた、梨屋アリエさんがご出席くださったので、スピーチを頂きました。
 今年が、子どもの権利条約採択30年目であることから、第17条に掲げられているマスメディアの果たす役割と責任について引用され、大人は、子どもたちの翼を折らないよう、そして自分の翼がまだ動くことを確認するためにも、子どもの本と出会い直しをしてほしいと話されました。とてもすてきなメッセージでした。

③ 今後の抱負/日中韓の新しいプロジェクト

 最後に、 さくま会長が、JBBYの今後の活動予定を紹介しました。

 さくま会長は、中国・西安で開催された「IBBYアジア・オセアニア地域大会」から戻ったばかりです。現在、日中韓(JBBY、CBBY、KBBY)の間で新たなプロジェクトが進みつつあることを発表しました。

 政治的に緊迫した状態の東アジアですが、「自分の国の子どもたちが、ほかの国の子どもたちと仲良くなってもらう、それが平和につながる」というIBBYの理念のもと、三国で毎回テーマをきめて、それぞれの国で出ているよい本を選び出し、解説をつけて互いの国に送り、自国の言葉に直してウエブで発表するという計画です。

 その情報を図書館や出版社に知っていただき、翻訳出版へと繋げることで、互いが他の国の子どもたちのことを知り、友だちになってほしいと願ってのプロジェクトです。