スペクトラムと共に（カナダ・読みもの）

2019_理解を深める本

『スペクトラムと共に』

　16 歳のクララは、自分が摂食障害だと認めたくありません。自分にはなんの問題もなく、母親からのプレッシャーと、災害レベルで煩わしいSNS から逃れるため、父親とそのパートナーと共にパリへ夏の休暇に出かけるだけ、と思っています。そこでクララは、自閉症スペクトラムの異母弟、アラステイアの面倒をみることになります。一緒に街を散策するうちに、クララはアラステイアのことを理解していきます。アラステイアは、「なにかおかしなところがある人」ではなく、一人前の人間としてまったく問題ないのだと思うようになります。クララはアラステイアと共に過ごすことで、他者を受け入れること、そして自分自身を受け入れることを学ぶのです。
　アラステイアは、いつも物事をありのままに見つめて本当のことだけを話す、清々しく魅力的な人物です。読者は、この物語を通して、なにを「普通」と考えるのかを自分に問いかけ、新たな視点を得ることができるでしょう。