グロノヨット（フランス・絵本）

2019_共にたのしめる本

『グロノヨット』

　グロノヨットは、ちょっと変わったウサギの男の子です。長い耳はなく、カエルのような頭の形をしています。話せる言葉は「グロノヨット」だけなので、それが彼の名前でした。グロノヨットは、家族には愛されていましたが、ほかのウサギからはのけ者にされたので、みんなと違う自分を恥ずかしく思い、みんなと同じになりたくてたまりません。しかし、ある晩のこと、おかしな「頭の形」をして、ひとりで楽しそうにしている月を見ていたら、グロノヨットは、たとえだれであろうと、この世界にはすべての人に居場所があるのだということに気がつきます。そして自分の個性的な特徴に誇りを持てるようになりました。
　落ちついた色調の絵は、静かに胸を打つお話とぴったり合っています。読者は、グロノヨットが、自分自身を受け入れて変化していく様子を、じっくりと味わうことができるでしょう。決して教訓的ではなく、ほかと違うということ、他者を思いやるということについて考えさせられる1 冊です。