アンナの空（アメリカ・絵本）

2018_翻訳作品（ノルウェー語から英語）

『アンナの空』

母親のお葬式に行く前、アンナは父親と、天国の母親を訪ねる空想をする。シュールで内省的なこの絵本は、娘が母親を、夫が妻の死をどのように悼むかを丁寧に描いている。前見返しに描かれた、空から落ちてきた釘の絵に始まり、最後に描かれた空に浮かぶストロベリーに至るまで、哀しみに向き合う過程をたどることができる。様々な素材のコラージュは、物語にアクセントを与え、内容を深く読み取ることができる。訳者は、アンナが天国の母親を想像する時のシュールな場面を、うまく描き出している。この美しく奇妙な作品は、多様な解釈ができる。見事なイラストも多くの気づきを与えてくれる。

翻訳家について　翻訳家。デンマークの大学で英語と言語学を学ぶ。教師として働いた後、イーストアングリア大学で文芸翻訳の修士号を取得。子どもの本、犯罪小説、文学小説などを翻訳する。翻訳は創作活動で、異なった視点で世界を見ることを可能にすると考えている。ノルウェー文学の翻訳に貢献した功績が認められ、2016 年、ノルウェーから勲章を授与されている。

日本語版
小柳隆之 訳／三元社／2017