再教育クラス（ロシア・読みもの）

2017_理解を深める本

『再教育クラス』

　現代ロシアの学校を舞台にしたこの小説で、作者は、心身に障害のある子どもたちが周りから拒絶され、置き去りにされるという難しい問題に取り組んでいます。7-Eクラスの生徒たちは、それぞれなんらかの身体的、情緒的、精神的な問題を抱えていることを理由に、教師や家族から見放された子どもたちです。ほとんどの子どもは正規教育の最終学年ですが、将来に光は見えません。しかし、このクラスに車いすの少年ユーラが編入してきたことで、周りから取り残されたようなこの小さなコミュニティに、はじめて希望が生まれます。新入りのユーラには、ほかのクラスメートにはない強みがいろいろあり、人生を楽観視していました。ユーラとともに過ごすうちに、クラスの子どもたちも、人生から与えられるものをなんでも黙って受け入れる必要はない、自分たちには人生を変える力があり、小さくとも重要な変化を起こすことができるのだということに気づきます。ロシア社会の片隅を描いた、現実的で前向きなこの物語には、公正さ、思いやり、協力といったテーマが織りこまれています。