こわがりのかえるぼうや（フランス・絵本）

IBBYバリアフリー図書2023_誰もがアクセスできる本

『こわがりのかえるぼうや』

　池に夜がきて、カエルのぼうやのジェロームは寝る支度をし、ベッドに入ります。ママもパパも部屋からいなくなると、聞こえてきたのは「ザクザク、ゴソゴソ、キキキッ、パチャ！」という音。怪物がいるのかな？　パパは「なんでもないよ」と言うけれど、ジェロームはこわくてたまりません。パパとベッドを交換したところ、パパにも音が聞こえます。二人で外に出てみると、音は、池のまわりのモグラや鳥がたてていたとわかったのでした。「暗くても、もう、こわくないや」。ジェロームは、にっこりしました。
　これは人気のある絵本を「さわる絵本」に作りかえたもので、ドアを閉めたり歯ブラシを取りはずしたりすることができ、文も大きな文字と点字で書かれているので、一般の読者も目の見えない読者も一緒に楽しめます。カエルは手に取ったときの大きさや手ざわりでもわかりやすい円盤型の立体で表現され、QR コードからは作者の朗読を聞くこともできます。夜の物音にドッキリした経験がある人なら、ジェロームに自分を重ねることができるでしょう。

●邦訳作品（本書の元となった原書の邦訳）
『こわがりのかえるぼうや』キティ・クローザー文・絵、平岡敦訳、徳間書店、2003年