夏に、ネコをさがして(読みもの)
『夏に、ネコをさがして』
佳斗(けいと)は小学6年の7月の終わりに、亡くなった祖母のナツばあが住んでいた家に両親と引っ越す。おばあちゃん子だった佳斗は、祖母の突然の死を受け入れることができない。一家は、祖母がかわいがっていた外ネコのテンちゃんを家に迎え入れようと考えるが、その矢先、テンちゃんが姿を消してしまう。テンちゃんを探してあるくうちに、佳斗は同じ6年生で長髪の蘭と出会う。蘭はこのあたりのネコの縄張りに詳しく、佳斗の話を聞いて、手伝ってくれるという。この町は老人と空き家だらけだ。ふたりではり紙を作り、出会ったお年寄りに声をかけると、何人もが祖母の知り合いだった。町を歩くと、祖母と行った場所、いっしょにしたことをあれこれ思い出した。佳斗は「この町にはナツばあとの思い出が、あちこちにある」と、少しずつ自分の気持ちを整理していく。人は死んでも、誰かの心の中で生き続けているのだ。タイ人の母を持ち、認知症の祖母の世話をしている蘭も、溺愛していたネコの死を引きずっていたが、佳斗とのネコ探しをきっかけに、野良ネコを引き取ろうと決心した。交通事故にあって入院していたテンちゃんを見つけることもできた。
新しい友情の誕生、子どもと老人の交流があたたかく描かれる。老人問題、多文化共生、ネコ狩り、戦時中の動物供出など、さまざまなテーマをさりげなく盛り込んだ作品。(汐﨑)
出版社 | 徳間書店 |
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初版年 | 2023年 |
ISBN | |
ページ数 | 272頁 |
サイズ | 19×14 |
対象年齢 | 11歳から |
キーワード | ネコ、死、子どもと老人、家族 |
- 2023
- 272 pages
- 19×14
- Ages 11 +