雨の日が好きな人(読みもの)
『雨の日が好きな人』
小6の七海の父は、七海が生まれる前に死去し、最近母が再婚した相手には、自分より2歳年上の幸がいる。七海は、なごやかな家庭を期待していたのだが、幸は生まれた時から体が弱く、ずっと病院暮らしでなかなか会えない。しかも母も新しい父も、容態の悪い幸のことばかり心配し、七海は放っておかれたような気がしておもしろくない。学校でも仲よしの友だちに憎まれ口をきいてしまい、何もかもうまくいかない思いが髙じて、七海はついついファンシーショップで万引きをしてしまう。それが見つかると、学校も休んでしまう。
そんなある日、七海は親には内緒で幸に会いに病院に行く。そして、幸の体があまりにも小さいことや、幸が想像していたようなわがままなお姫様ではなかったことに驚く。幸は妹が来てくれたことを思いのほか喜んで、ふたりでいろいろな話をし、ささやかなヒミツを共有することにする。それをきっかけに七海は、人は見かけによらないと思い、先入観にとらわれずに相手を理解しようと考えるようになる。やがて幸は昏睡状態になる。七海は、いつしか心の中にすむようになっていた幸のことが心配でたまらなくなり、雨の日は皆が平等に外で遊べないから大好き、と言っていた幸のために、逆さテルテル坊主をたくさん作る。「かわいそう」という上から目線なしに書かれているので、相手の立場で考えることについて、考えるヒントをいっぱいもらえそうだ。(さくま)
出版社 | 講談社 |
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初版年 | 2022年 |
ISBN | |
ページ数 | 224頁 |
サイズ | 20×14 |
対象年齢 | 11歳から |
キーワード | 非血縁家族、病気、友だち |
- 2022
- 224 pages
- 20×14
- Ages 11 +