ゆめでもいい(読みもの)
『車のいろは空のいろ ゆめでもいい』
半世紀以上読みつがれてきたシリーズに、新たなこの巻が加わった。空色のタクシーを運転する松井五郎さんが不思議なできごとに遭遇する7話が入っている。このタクシーが乗せるのは、人間だけではない。人間の男の子に化けたつもりで、お金に変えたつもりのイチョウの葉で料金を払う子ダヌキも乗ってくる。そんなときでも松井さんは、だまされたふりをする。動物たちも松井さんを助けてくれる。走ってきた女の子を避けようとあわててハンドルを切ったときは、溝にはまったタイヤを道路にもどすのを、女の子の家族(じつはタヌキの一家)が助けてくれた。
心やさしい松井さんは、夜中の公園でブランコから落ちた子どもを見れば、タクシーを停めて駆けつけるが、話しているうちに、遊んでいたのは月の光で人間に変身していた小ネコたちだったとわかる。雪に埋まりそうなぬいぐるみを見つけたときも、運転席から降りて拾い上げ、目立つところに置いておく。すると、後になって、そのぬいぐるみを抱いた親子が乗ってきたりもする。松井さんのタクシーは時空も超える。愛犬を探す男の子を乗せたときは、そのイヌが月の原で仲間と楽しく遊んでいるのを見たのだが、その後、男の子は現実世界では老人で、戦争で飼えなくなった愛犬にどうしても会いたかったのだとわかる。夢と現実のあわいから不思議な世界へ飛び立つことのできる短編集。(さくま)
出版社 | ポプラ社 |
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初版年 | 2022年 |
ISBN | |
ページ数 | 124頁 |
サイズ | 20×16 |
対象年齢 | 9歳から |
キーワード | タクシー、動物、優しさ |
- 2022
- 124 pages
- 20×16
- Ages 9 +