みえない りゅう（絵本）

『みえない りゅう』

奄美大島に移住した著者は、島の人たちが自然の中の目に見えないものの気配を感じ取って「りゅう」と呼ぶのを知る。その「りゅう」を主人公に描いた壮大な生々流転絵巻だ。小さな海で生まれた「りゅう」は、波を作り大海に躍り出て季節をめぐり、小さな魚からカモメやクジラやキツネなどさまざまな生きものに精気を与え、泳いだり飛んだりしながら元の海に戻ってくる。見えない「りゅう」に姿を与えて変容させ、時空を超え色鮮やかでダイナミックに描いた自然賛歌に圧倒される。（野上）