水のまもりびと（アメリカ合衆国・絵本・英語）

IBBYオナーリスト2022_イラストレーション作品

『水のまもりびと』

相反するふたつの要素を描く力強い作品。ひとつは水の神聖さ、もうひとつはアメリカで議論を呼んでいる石油パイプライン（ダコタ・アクセス・パイプライン）の先住民族への脅威。文章を彩るのは、オジブワ族のシンボルや花模様など先住民族の文化が描かれた水彩画。細部まで息をのむほど美しく躍動的だ。黒い蛇が象徴するものが巧みに示唆され、半分骨になった生き物たちが環境への脅威を表す。芸術性の高い絵が文章に力をあたえ、読者を行動へつきうごかす。

●画家について／アラスカ在住。「サケの少年」で2018 年にアメリカンインディアン青少年文学賞を絵本部門で受賞。イラストレーションを手がけた絵本にスピレット＝サムナー「うたってあなたを星からよびよせたの」（2021）、ルービー「であい」（2019）、リンドフ「さあ、いこう！ とりいれの物語」（2017）、装画を手がけた読み物にデイ「わたしはこの約束をはたせる」（2018）など。トリンギットとハイダの一員として、先住民族を描く作品に注力している。本書は2021 年、コールデコット賞に輝いた。