エレン！（フィンランド・絵本・フィンランド語）

IBBYオナーリスト2022_イラストレーション作品

『エレン！ 画家エレン・テスレフのあざやかな色と人生』

フィンランド女性をとりあげた伝記絵本。多様な技法のイラストレーションに加え、エレン・テスレフ本人の絵画や画材などの写真も使われている。たとえば、エレンが見ている鏡にうつっているのは、エレン自信が描いた自画像だ。またエレンが画家として成功するきっかけとなった絵画「こだま」（1891）については、まずペッリッシオニによるイラストが、次のページには美術館に展示された実物の写真が掲載されている。画面の視点や焦点が変化するため、読み手はエレンを外側から見ることも、エレンとともに新しい場所や美しい色彩に見とれることもできる。絵は文章の内容や雰囲気だけでなく、多くの情報を伝えている。

●画家について／グラフィックデザイナー、イラストレーター。オンニ少年が主人公の絵本シリーズで有名。本書はシリーズのほかの３作「ミンナ！」「エーヴァ！」「フレドリカ！」とともに大きな話題になった。文字のない絵本「わたしたちはにげなければならなかった」（2018）は、2019 年IBBY サイレント・ブックスの１冊。動物を白黒で描く絵本「わたしをきらわないで」（2020）や、宇宙や原子などの科学の本も手がける。