リラ・パーク（スイス・読みもの・ドイツ語）

IBBYオナーリスト2022_文学作品

『リラ・パーク』

母親がこの世を去ってから、12 歳のリラの父親はうつ状態だった。しかし、父親はまた突然おかしなことを考え、リラに車の運転を学ばせ、危機を乗り越える力をつけさせようとする。夏休みになると、父娘は東ヨーロッパに旅に出かけ、人里離れた場所でテントを張り、完全に自然のなかで生活しはじめる。ところが嵐でなにもかも失ったとき、父親が助けを求めたのはリラの学校の先生だった。父親が冒険心を取り戻しただけではなく、先生に特別な感情を抱いていることをリラは悟る。リラはそれを受け入れることができず、ひとりで車を走らせ、小さい村にたどりつく。そして自身が感じていた悲しみや怒り、嫉妬心に気づいていく。こっけいで矛盾に満ちた人生そのもののように、青少年の複雑な心を瑞々しく描き出した、心を揺さぶるYA 作品。

●作家について／ 1974 年スイス北東部地方に生まれる。14 年間教師を勤めた後、児童書出版社の編集者になる。大人向け、児童向けに脚本、散文を書き、おもにスペイン語から絵本の翻訳もしている。本作は著者にとってはじめてのYA 作品。