待機中(デンマーク・読みもの)
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IBBYバリアフリー図書2021_ポートレイト
『待機中』
10 代はただでさえ大変な時期ですが、家庭の負担を同年代よりも多く担っている場合は特に大変です。ニクラスの家では、母親はシングルマザー、弟には複数の障害があります。ニクラスの弟は言葉を使えず車いすを利用していて、ニクラスは母親とふたりで弟をケアしています。弟が嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)と診断された後、母親がケアに携われなくなり、ニクラスの負担はさらに増えます。自分自身のことは保留にしてきたニクラスですが、恋をして心が軽くなり、日常に対してこれまでと違う見かたをするようになります。
10 代に共感されるようなリアリティのある小説です。深刻でむずかしい問題が丁寧に描かれており、読者は少しずつ物語世界に入り込んでいくことでしょう。注目したいのは、ケアの中心的役割を担うのが若者であること、その若者は障害をもつきょうだいのケアに困難も喜びも感じているということ。10 代は未熟で自己中心的なものと描かれがちですが、重い責任を背負った若者は多く、そうした立場の読者は、主人公に共感するでしょう。そうでない読者にとっては、未知の世界を知る手がかりになるかもしれません。
出版社 | Turbine |
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初版年 | 2017年 |
ISBN | 978-87-406-1348-3 |
ページ数 | 2014頁 |
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対象年齢 | |
キーワード |
Standby
- Larsen,Bjarke Schjødt
- Turbine
- 2017
- 2014 pages
- ISBN 978-87-406-1348-3