「世界のバリアフリー児童図書展」開催レポート
「世界のバリアフリー児童図書展」の開催の様子を、写真とともにご紹介します。
◆都留文科大学附属図書館◆(山梨県)
会期:2024年10月28日~11月5日
会場:都留文科大学附属図書館
主催:都留文科大学日向研究室
共催:JBBY、点訳きつつき
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都留文科大学は、山梨県都留市(人口約3万人)にある、学生数約3,500人の公立大学です。文学部、教養学部の2学部で司書や司書教諭の資格を取ることもできます。今回の展示期間は本学学園祭期間にもあたり、学生だけでなく地域住民が大学を訪れる機会が多い時期に開催いたしました。展示期間中、絵本をめくりながら興味深くバリアフリー図書をみる利用者の姿が見られました。
また、11月28日(月)に司書課程講義の中で、図書展実行委員長である攪上久子(かくあげ・ひさこ)さんの講演会が開催されました。攪上さんからは、ibbyの設立の経緯や活動の紹介の後、今回展示しているバリアフリー図書の特徴や、その作りの目的などの説明を受けました。実際にその本を読む方の特性を踏まえた本のつくりの説明で、学生たちはバリアフリー図書が作成される際のさまざまな工夫を知ることができました。さらに自分たちが考えているバリアフリーの具体案と、実際にバリアフリーを実現する際のギャップについて知ることができ、司書を目指す学生に重要な示唆をいただくことができました。
今回貴重な経験をいただいた学生はこれからさまざまな場でバリアフリー図書を拡げていくことが期待されます。ありがとうございました。
報告:日向良和
◆太田市美術館・図書館◆(群馬県)
会期:2024年10月8日~20日
会場:太田市美術館・図書館 2F 展示室2
主催:太田市・一般財団法人太田市文化スポーツ振興財団
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太田市美術館・図書館でのバリアフリー児童図書展は今回で4回目の開催となります。
毎回沢山のお客様が訪れてくださり、楽しみにしていただいている展覧会の一つとなっております。当館の利用者は親子連れの方や学生さんが多いのですが、期間中は多くのご年配の方もこの展覧会を訪れてくださいました。今回は1,392名のお客様が、世界各国から集められたバリアフリー児童図書を思い思いに楽しんでいかれました。
10月12日(土)には、市内の手話サークルぐみの木会さんをお招きした手話教室『みんなで手話』を開催いたしました。開催にあたり「誰でも気軽に参加できる手話教室」を目標に何度も打ち合わせを重ね、準備にも工夫を凝らし、初心者の方から経験者の方、また小さなお子さまから大人の方まで沢山のお客様が楽しく手話を学んでくださいました。
また、関連イベントとして『みて、さわって、かんじる~赤のさわるコレクション~』を開催いたしました。このイベントでは、群馬県立近代美術館よりお借りした鑑賞サポートツール「赤のさわるコレクション」を展示し、様々な形や素材を目で見るだけでなくさわって感触もお楽しみいただき、その感想を書きとめた色とりどりの付箋を壁面に貼付けていただきました。お子さまから大人の方まで多くの方が参加してくださり、バリアフリー児童図書展の展示室へ続くスロープの白い壁が沢山の付箋で明るくにぎやかに彩られました。
◆本宮市立しらさわ夢図書館◆(福島県)
会期:2024年6月4日~30日
会場:本宮市しらさわ夢図書館
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昨年度の「世界の子どもの本展」に引き続き今年度もJBBY のご協力を頂いて開催しました。期間中は、前年度比11. 7%増の1707人の来館があり、ふるさとの山「安達太良山」をイメージした当館の壁面書架に多くのバリアフリー図書が並び、その前の椅子に座ってゆっくりと本を丁寧に眺めている利用者の姿を見かけました。その後ろ姿を通して、バリアフリー児童図書が読み手に新しい価値観を伝えていることを感じました。
展示図書は館内閲覧ですが、この機会に当館に所蔵してある点字絵本なども並べて貸出しを行いました。この展示で当館のバリアフリー図書を紹介することができて感謝しています。また、この展示の特別企画として「バリアフリー絵本のおはなし会」や児童文学者・村中李衣先生によるワークショップも開催し、多くの皆さんにバリアフリーや絵本について考えていただく機会を設けました。
私自身、長年この仕事に携わっていますが、今回の展示・企画を通して、改めて子どもの本の持つ力を目の当たりにすることができました。
「やっぱり、子どもの本って素晴らしい!」とつくづく感じた展示会でした。
報告:柳沼志津子(本宮市立しらさわ夢図書館長)
◆豊田市こども図書室◆(愛知県)
会期:2023年1月20日~29日
会場:豊田市こども図書室 おはなしのへや
主催:豊田市こども図書室・こども図書室ボランティア
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今年で開館28年を迎える豊田市こども図書室。豊田市・ボランティア・中央図書館の3者共働で運営しており、子どもに向けた資料を約28,000冊所蔵している。地域の子ども読書支援の場としても一翼を担っている。
私がバリアフリーで思い浮かべるのは「スロープ」や「音声ガイド」だった。絵本なら点字の本?音の出る本?と想像していた。でも本を並べると、リング製本の本に目が付いた。本を開き、広げたままにする事の難しさに配慮されているのだ。文字のない本やピクトグラムの本もあり、日本語以外の本もある。文字が読めなくても同じ感情を抱けるのを知るのもバリアフリーと感じた。
入場者数は253名。市外・県外からの来館者もいた。全ての本をゆっくりと見られる方や、点字の説明を丁寧にしながら本を楽しむ親子連れの姿もあった。会場の受付をボランティアが担当したが、受付だけではなく来場者と共に展示された本を熱心に見、互いに話し合う様子が印象的だった。この姿こそがバリアフリーの第1歩で、こども図書室で開催した大きな意義だと思う。
報告: 報告:毛受和也(豊田市こども図書室)
◆光塩女子学院中等科・高等科◆(東京都)
会期:2022年6月9日~22日
会場:光塩女子学院中高等科 中高会議室
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去る6月9日(木)~6月22日(木)、杉並区にある私立光塩女子学院中等科・高等科において、「世界のバリアフリー児童図書展」が開催されました。
光塩女子学院の校内でJBBYの展覧会が開かれるのは、昨年度の「世界の子どもの本展」に続いて二度目。世界の優れたバリアフリー図書40冊が一堂に会し、手に取って読むことができるという機会を心待ちにしてくださった生徒さんたちがいたそうで、会場の設営や装飾は自ら志願した中3~高2の準備委員によって行われ、展示された直後から来場者が来るほどだったそうです。
6月10日(金)には、元JBBY理事で、当該図書展の実行委員長でもある攪上久子(かくあげ・ひさこ)さんのトークセッションが開催されました。実物を手にとりながら、それぞれの本が、五感をどのように使って楽しむように作られているか、どのような狙いがあるかというお話を受けて、生徒たちは展示を改善したり、「なぜこのようなバリアフリーの取り組みが必要なのか」という突っ込んだ議論も行われたりしたそうです。
担当された塚田聡子先生からは、会期中には何度も訪れる生徒がいたほか、保護者が見学できる機会もあり、「はじめてバリアフリー図書にふれた」と大人の方々にも大好評だったと伺いました。学園内で、このような継続的な取り組みが行われ、その経験を家庭内でも共有されるというのは、非常に意義深いものだと思います。
光塩女子学院の取り組みに敬意を払いつつ、ぜひ、このような取り組みがほかの学校にも広がってほしいと切に願います。
報告:吉田幸司(JBBY理事)
◆富山市立図書館 (TOYAMAキラリ) ◆(富山県)
会期:2022年5月24日~6月5日
会場:富山市ガラス美術館(TOYAMAキラリ)5階ギャラリー1・2
主催:富山市立図書館交流行事運営委員会
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