「世界のバリアフリー児童図書展」開催レポート

「世界のバリアフリー児童図書展」の開催の様子を、写真とともにご紹介します。

◆豊田市こども図書室◆(愛知県)

会期:2023年1月20日~29日
会場:豊田市こども図書室 おはなしのへや
主催:豊田市こども図書室・こども図書室ボランティア
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 今年で開館28年を迎える豊田市こども図書室。豊田市・ボランティア・中央図書館の3者共働で運営しており、子どもに向けた資料を約28,000冊所蔵している。地域の子ども読書支援の場としても一翼を担っている。
 私がバリアフリーで思い浮かべるのは「スロープ」や「音声ガイド」だった。絵本なら点字の本?音の出る本?と想像していた。でも本を並べると、リング製本の本に目が付いた。本を開き、広げたままにする事の難しさに配慮されているのだ。文字のない本やピクトグラムの本もあり、日本語以外の本もある。文字が読めなくても同じ感情を抱けるのを知るのもバリアフリーと感じた。
 入場者数は253名。市外・県外からの来館者もいた。全ての本をゆっくりと見られる方や、点字の説明を丁寧にしながら本を楽しむ親子連れの姿もあった。会場の受付をボランティアが担当したが、受付だけではなく来場者と共に展示された本を熱心に見、互いに話し合う様子が印象的だった。この姿こそがバリアフリーの第1歩で、こども図書室で開催した大きな意義だと思う。

◆光塩女子学院中等科・高等科◆(東京都)

会期:2022年6月9日~22日
会場:光塩女子学院中高等科 中高会議室
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 去る6月9日(木)~6月22日(木)、杉並区にある私立光塩女子学院中等科・高等科において、「世界のバリアフリー児童図書展」が開催されました。

 光塩女子学院の校内でJBBYの展覧会が開かれるのは、昨年度の「世界の子どもの本展」に続いて二度目。世界の優れたバリアフリー図書40冊が一堂に会し、手に取って読むことができるという機会を心待ちにしてくださった生徒さんたちがいたそうで、会場の設営や装飾は自ら志願した中3~高2の準備委員によって行われ、展示された直後から来場者が来るほどだったそうです。

 6月10日(金)には、元JBBY理事で、当該図書展の実行委員長でもある攪上久子(かくあげ・ひさこ)さんのトークセッションが開催されました。実物を手にとりながら、それぞれの本が、五感をどのように使って楽しむように作られているか、どのような狙いがあるかというお話を受けて、生徒たちは展示を改善したり、「なぜこのようなバリアフリーの取り組みが必要なのか」という突っ込んだ議論も行われたりしたそうです。

ゆったりと展示され、壁側には点字器の使い方や
手話が学べるコーナーがある。
点字器で点字を作る体験は、
生徒だけでなく大人にも大人気。
触覚で象を体験する本。小さなポップは生徒たちが作ったもの。「優しくさわってみてください。“ビジュアル的”ではなく“触るため”に絵がとびだしてきます」

 担当された塚田聡子先生からは、会期中には何度も訪れる生徒がいたほか、保護者が見学できる機会もあり、「はじめてバリアフリー図書にふれた」と大人の方々にも大好評だったと伺いました。学園内で、このような継続的な取り組みが行われ、その経験を家庭内でも共有されるというのは、非常に意義深いものだと思います。
 光塩女子学院の取り組みに敬意を払いつつ、ぜひ、このような取り組みがほかの学校にも広がってほしいと切に願います。

報告:吉田幸司(JBBY理事)

◆富山市立図書館 (TOYAMAキラリ) ◆(富山県)

会期:2022年5月24日~6月5日
会場:富山市ガラス美術館(TOYAMAキラリ)5階ギャラリー1・2
主催:富山市立図書館交流行事運営委員会
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