【アーカイブ配信中】JBBY50周年記念国際シンポジウム「いま、子どもの本は世界とどうかかわるのか」

11月16日に出版クラブビルで開催された、JBBY創立50周年記念シンポジウム「いま、子どもの本は世界とどうかかわるのか」のアーカイブを配信中です。

会場では短縮版を上映した海外作家によるビデオメッセージは、アーカイブ版ではフルバージョンです。ますます見ごたえのあるメッセージをご期待ください。また、見えづらいとご指摘を受けた字幕も、モニターでははっきりとご覧いただくことができます。

申し込みそびれた方、もう一度じっくりご覧になりたい方、どうぞご利用ください。  

配信期間2025年3月31日(月)23:59まで
視聴料1,000円
11/16の会場イベントに申し込まれた方は、別途お送りしたパスコードの入力で無料になります
JBBY会員は、第1部(12名の海外作家からのビデオメッセージ)を「JBBYの会員ページ」で無償で視聴できます(会員ページに入るパスワードが分からない方は事務局にお問い合わせください)
申し込みPeatix(外部サイト)からお申込みください
視聴にあたっての注意事項・ご自身のパソコン、スマートフォン、タブレットよりご視聴ください。
・お申し込み後、Peatixから送られるメール内の「イベント視聴ページに移動」ボタンからご視聴ください。
・視聴には、Peatixへのログインが必要です。登録したメールアドレスとパスワードを忘れないようご留意ください。また、パソコンからのメールを受け取れるよう設定してください。
・取得したリンクなどはSNS等で公開したり、他人に共有しないようご留意願います。
・お申し込み後(お支払い後)の視聴料の払い戻しはいたしかねます。ご了承ください。

JBBY国際シンポジウム
「いま、子どもの本は世界とどうかかわるのか」
プログラム

国際舞台で活躍する子どもの本の作家・画家のみなさんから、シンポジウムのテーマ「いま、子どもの本は世界とどうかかわるのか」についての短いビデオメッセージを送っていただきました。第1部では、このビデオを上映します。第2部では、子どもの本の作り手の方々に、子どもの本と世界の関わりについてお話しいただきます。

 第1部
ビデオ出演:デイヴィッド・アーモンド(イギリス)、ジャクリーン・ウッドソン(アメリカ)、デボラ・エリス(カナダ)、クォンユンドク(韓国)、グスティ(アルゼンチン/スペイン)、ピーター・シス(チェコ/アメリカ)、ラフィク・シャミ(シリア/ドイツ)、曹文軒(中国)、ビヴァリー・ナイドゥー(南アフリカ/イギリス)、キャサリン・パターソン(アメリカ)、降矢なな(日本/スロバキア)、エミリー・ロッダ(オーストラリア)

 第2部
パネリスト:岩瀬成子(作家)、長倉洋海(写真家)、さくまゆみこ(翻訳家)

  

パネリスト

岩瀬成子(いわせ・じょうこ)
児童文学作家。山口県生まれ。1977年、『朝はだんだん見えてくる』(理論社)でデビュー。同作品で日本児童文学者協会新人賞受賞。1992年、『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』(PHP研究所)で小学館文学賞受賞、1994年、IBBYオナーリスト。2008年、『そのぬくもりはきえない』(偕成社)で日本児童文学者協会賞受賞。2014年、『あたらしい子がきて』(岩崎書店)で野間児童文芸賞、JBBY賞、IBBYオナーリスト。2015年、『きみは知らないほうがいい』(文研出版)で産経児童出版文化賞大賞受賞。そのほかの作品に『ぼくが弟にしたこと』(理論社)、『ピース・ヴィレッジ』(偕成社)など多数。2022年2024年国際アンデルセン賞作家賞候補。

長倉洋海(ながくら・ひろみ)
写真家。北海道釧路市生まれ。1980年以降、世界の紛争地を精力的に取材し、アフガニスタン抵抗運動の指導者マスードやエル・サルバドルの難民キャンプの少女へスースを長いスパンで撮影し続ける。それは、写真集『マスード 愛しの大地アフガン』(河出書房新社)や『ヘスースとフランシスコ エル・サルバドル内戦を生きぬいて』(福音館書店)などに結実し、第12回土門拳賞、日本写真協会年度賞、講談社出版文化賞などを受賞。児童書の著書に、『ザビット一家、家を建てる』(偕成社)、『草原が大好き ダリアちゃん』『学校が大好き アクバルくん』『いのる』(以上 アリス館)、『元気?世界の子どもたちへ』(朝日新聞出版)などがある。

さくまゆみこ(翻訳家)
翻訳家。東京生まれ。出版社・大学勤務を経て、現在はフリーの翻訳家。前JBBY会長、「アフリカ子どもの本プロジェクト」代表。著書に『エンザロ村のかまど』(福音館書店)など。訳書にE.B.ホワイト『シャーロットのおくりもの』(あすなろ書房)やE.ロッダ「リンの谷のローワン」シリーズ(あすなろ書房)、『彼の名はウォルター』(徳間書店)、「ホーキング博士のスペース・アドベンチャー」シリーズ(岩崎書店)、M.ペイヴァー「クロニクル千古の闇」シリーズ(評論社)、B.ナイドゥー『ノウサギのムトゥラ』(岩波書店)、J.ウッドソン『わたしは夢を見つづける』(小学館)など多数。翻訳で産経児童出版文化賞、日本絵本賞、ゲスナー賞などを受賞。

ビデオ出演

デイヴィッド・アーモンド(David Almond)(イギリス)
1951年、英国ニューキャッスル・アポン・タイン生まれ。作家。『肩胛骨は翼のなごり』(山田順子・訳 東京創元社 2000)でウィットブレッド図書賞(児童図書部門)とカーネギー賞などを受賞。その他『闇の底のシルキー』 (山田順子・訳 東京創元社 2001 プリンツ賞)、『ヘヴンアイズ』(金原瑞人・訳 河出書房新社 2003)、『火を喰う者たち』(金原瑞人・訳 河出書房新社 2005 ウィットブレッド図書賞他)、『ミナの物語』(山田順子・訳 東京創元社 2012)、絵本『ナンティー・ソロ子どもたちを鳥にかえたひと』(ローラ・カーリン・絵 広松由希子・訳 BL出版 2023)などある。2010年、国際アンデルセン賞作家賞を受賞。

ジャクリーン・ウッドソン(Jacqueline Woodson)(アメリカ)
1963年、アメリカ・オハイオ州生まれ。社会的な視点を持つ作品をリリカルな文体で描く、アフリカ系アメリカ人の作家。「マディソン通りの少女たち」シリーズ(さくまゆみこ・訳 ポプラ社 2000-2001)などの物語、『ひとりひとりのやさしさ』(E.B.ルイス・絵 さくまゆみこ・訳 BL出版 2013)、『みんなとちがうきみだけど』(ラファエル・ロペス・絵 都甲幸治・訳 汐文社 2019)などの絵本を手がける。自身の半生を詩で綴る『わたしは夢を見つづける』(さくまゆみこ・訳 小学館 2021)は、全米図書賞(2014)、ニューベリー賞オナー(2015)など数々の賞を受賞。2018年、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。2020年、国際アンデルセン賞作家賞を受賞。

デボラ・エリス(Deborah Ellis)(カナダ)
1960年、カナダ・オンタリオ州生まれ。作家、フェミニストで、平和活動家。1999年、『Xをさがして』(もりうちすみこ・訳 さ・え・ら書房 2001)でカナダ総督文学賞を受賞。その後、アフガニスタン難民を支援するNGOの活動経験を元に創作した『生きのびるために』(もりうちすみこ・訳 さ・え・ら書房 2002)から始まる「アフガンを生きぬく少女」シリーズが世界で注目される。エイズの少女を描いた『ヘブンショップ』(さくまゆみこ・訳 鈴木出版 2006)などのフィクションの他、ノンフィクション作品『三つの願い パレスチナとイスラエルの子どもたち』(もりうちすみこ・訳 さ・え・ら書房 2004)などもある。

クォンユンドク(권윤덕글그림)(韓国)
1960年、大韓民国・京畿道烏山生まれ。絵本作家。ソウル女子大学卒業後、弘益大学大学院で広告デザインを学ぶ。1993年から絵本作りに取り組み、『マンヒのいえ』(みせけい・訳 らんか社 1998)でデビュー。2006年から韓中日平和絵本プロジェクトに参加して発表した『花ばぁば』(桑畑優香・訳 ころから 2018)で韓国出版文化賞、CJ絵本賞などを受賞。その他、『しろいはうさぎ』(チョンミヘ・訳 福音館書店 2007)、『ねこはわたしのまねばかり』(キムファン・訳 あかね書房 2023)、『幸せなフナ』(未邦訳 2024)など多数の作品を精力的に発表している。

グスティ(Gusti)(アルゼンチン/スペイン)
1963年、アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。絵本作家、イラストレーター。『マルコとパパ ダウン症のあるむすことぼくのスケッチブック』(宇野和美・訳 偕成社 2018)で、ボローニャ・ラガッツィ賞・障害の本部門・最優秀賞(2016)を受賞、IBBYバリアフリー児童図書2015に選定。その他『ハエくん』(木坂涼・訳 フレーベル館 2007)、『色とりどりのぼくのつめ』(アリシア・アコスタ、ルイス・アマヴィスカ・文 石井睦美・訳 光村教育図書 2022)、『はらぺこライオン エルネスト』(ローラ・カサス・作 星野由美・訳 ワールドライブラリー 2016)など多くの本を手がけ、国際的に活躍している。2022年、国際アンデルセン賞画家賞の最終候補に選出。スペイン・バルセロナ在住。

ピーター・シス(Peter Sís)(チェコ/アメリカ)
1949年、旧チェコスロバキア生まれ。絵本作家、イラストレーター。短編アニメーション「頭」がベルリン国際映画祭で金熊賞(1980)を受賞。1982年、ロサンゼルスオリンピックをテーマにアニメーション制作を命じられ渡米。翌年のソ連と東欧諸国のオリンピックボイコットにより帰国命令が出るもアメリカに亡命。『三つの金の鍵 魔法のプラハ』(柴田元幸・訳 BL出版 2005)、『かべ 鉄のカーテンのむこうに育って』(福本友美子・訳 BL出版 2010)、『星の使者 ガリレオ・ガリレイ』(原田勝・訳 徳間書店 1997)、『ニッキーとヴィエラ ホロコーストの静かな英雄と救われた少女』(福本友美子・訳 BL出版 2022)などの作品がある。2012年、国際アンデルセン賞画家賞を受賞。アメリカ・ニューヨーク在住。

ラフィク・シャミ(Rafik Schami)(シリア/ドイツ)
1946年、シリア・ダマスカス生まれ。作家、批評家。1971年にドイツへ留学する形で亡命。『千夜一夜物語』のような語りの魅力を活かした作品を数多く出版している。『片手いっぱいの星』(若林ひとみ・訳 岩波書店 1988)は、チューリッヒ児童文学賞ほか8つの賞を受賞。『夜の語り部』(松永美穂・訳 西村書店 1996)は世界で150万部のベストセラーになる。その他、絵本『こわい、こわい、こわい? しりたがりネズミのおはなし』(カトリーン・シェーラー・絵 那須田淳・訳 西村書店 2016)、『人形つかいマリオのお話』(松永美穂・訳 徳間書店 2020)、亡命の半生を書いたエッセイ『ぼくはただ、物語を書きたかった。』(松永美穂・訳 西村書店 2022)などがある。ドイツ南西部キルヒハイムボーランデン在住。

曹文軒(ツァオ・ウェンシュエン、そうぶんけん)(中国)
1954年、中国・江蘇省塩城市生まれ。児童文学作家。北京大学教授。北京作家協会副主席、児童文学委員会委員などを務める。『再見了、我的小星星』(未邦訳 1988)で第一回全国優秀児童文学賞受賞。『サンサン』(中由美子・訳 てらいんく 2002)、『よあけまで』(和歌山静子・絵 中由美子・訳 童心社 2002)、『はね』(ホジェル・メロ・絵 濱野京子・訳 マイティブック 2015)、『青銅とひまわり』(中由美子・訳 樹立社 2020)、『トンボの眼 フランスから来たおばあちゃま』(中由美子・訳 小学館世界J文学館 2022)など、数多くの作品を発表し、様々な賞を受賞。2016年、国際アンデルセン賞作家賞を受賞。

ビヴァリー・ナイドウー(Beverley Naidoo)(南アフリカ/イギリス)
1943年、イギリス自治領南アフリカ連邦生まれ。大学時代に反アパルトヘイト運動に身を投じて捕らわれ、8週間の獄中生活を送る。1965年、イギリスに亡命し、1985年、『ヨハネスブルクへの旅』(もりうちすみこ・訳 さ・え・ら書房 2008)でデビュー。『真実の裏側』(もりうちすみこ・訳 めるくまーる 2002)でカーネギー賞を受賞。その他『炎の鎖をつないで 南アフリカの子どもたち』(さくまゆみこ・訳 偕成社 1997) 『ノウサギのムトゥラ 南部アフリカのむかしばなし』(ピート・フロブラー・絵 さくまゆみこ・訳 岩波書店 2019) 『ぼくの心は炎に焼かれる 植民地のふたりの少年』(野沢佳織・訳 徳間書店 2024)などの作品がある。イギリス在住。

キャサリン・パターソン(Katherine Paterson)(アメリカ)
1932年、アメリカ人宣教師の娘として中国で生まれ、第二次世界大戦時にアメリカに帰る。1957年から4年間日本に滞在。小学校教師を経て作家になり、児童文学作品で数々の賞を受賞。『テラビシアにかける橋』(岡本浜江・訳 偕成社 1981)でニューベリー賞(1978)、『ガラスの家族』(岡本浜江・訳 偕成社 1984)で全米図書賞(1979)、『海は知っていた ルイーズの青春』(岡本浜江・訳 偕成社 1985)で再びニューベリー賞(1981)、『北極星を目ざして ジップの物語』(岡本浜江・訳 偕成社 1998)でスコット・オデール賞(1997)を受賞。1998年、国際アンデルセン賞作家賞を受賞。2006年、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。

降矢なな(ふりやなな)(日本/スロバキア)
1961年、東京生まれ。絵本作家。スロバキアのブラチスラバ美術大学で石版画を学ぶ。『クリスマスマーケット ちいさなクロのおはなし』(福音館書店 2023)で講談社絵本賞、『ヴォドニークの水の館 チェコのむかしばなし』(まきあつこ・文 BL出版 2021)で産経児童出版文化賞美術賞を受賞。その他『めっきらもっきらどおんどん』(長谷川節子・作 福音館書店 1990)「やまんばのむすめまゆ」シリーズ(富安陽子・文 福音館書店 2004-)、「おれたち、ともだち!」シリーズ(内田麟太郎・作 偕成社 1988-2021)など多くの作品がある。2024年、「国際子どもの本の日(IBBY)」ポスターのイラストを手がける。スロバキア在住。

エミリー・ロッダ(Emily Rodda)(オーストラリア)
1948年、オーストラリア・シドニー生まれ。児童文学作家。「リンの谷のローワン」シリーズ(さくまゆみこ・訳 あすなろ書房 2000-2003)、「デルトラ・クエスト」シリーズ (岡田好惠・訳 岩崎書店 2002-2005)、「チュウチュウ通りのゆかいななかまたち」シリーズ(たしろちさと・絵 さくまゆみこ・訳 あすなろ書房 2009-2011)、『彼の名はウォルター』(さくまゆみこ・訳 あすなろ書房 2022)など多数の人気児童書シリーズを執筆。2023年までに100冊以上の絵本や小説を発表し、オーストラリア最優秀児童図書賞を計6回受賞している。


参加者の声より

  • 非常に刺激的で、絵本創作の試みのように正解を探すのではなく美しいもの、子どもたちに有意義なものを探求する素晴らしい時間だった。
  • 作品ごとに様々なテーマはあれど、子どもの本は本質的には子どもの安心や平和のためにあるのだということを改めて感じました。
  • それぞれに個性やお人柄、ユーモアなどが出ていながら、通奏低音のように平和や多様性への希求と子どもたちへの愛が流れていて、美しくリアルだと思いました。
  • 「いかに世界は未知で、人間が複雑であるか。それを知るよろこびが希望である」といい続けられるような社会をいかにつくっていくか。子どもの本が好きなおとなとして、そのことの責任を共有し合えた時間となりました。