IBBY記者会見①:2024年国際アンデルセン賞発表
2024年4月9日
4月8日(月)、国際児童図書評議会(IBBY)は、イタリアで開催されているボローニャ・ブック・フェアの会場で記者会見を行い、IBBY各賞の受賞者を発表しました。授与式は、2024年8月にイタリアのトリエステで開催される「第39回IBBY世界大会」で行われます。
記者会見の動画は、ボローニャ・ブック・フェアのYouTubeチャンネルでご覧いただけます。▶▶
1953年に創設され、2年に一度、子どもの本の最高の作り手に贈られる国際的な賞で、作家賞と画家賞があります。2024年は、33カ国から59人の候補者がノミネートされました。スポンサー:Nami Island(韓国)
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*IBBYのサイトはこちら(英語)▶
〔全候補者の推薦資料などもご覧になれます〕
■ 受賞者
作家賞:Heinz Janisch(ハインツ・ヤーニッシュ/オーストリア)
画家賞:Sydney Smith(シドニー・スミス/カナダ)
■ 2024年作家賞
ハインツ・ヤーニッシュ(オーストリア)
「文学にとって小さすぎるものは、なに一つない」と主張するハインツ・ヤーニッシュは1960年、ハンガリーとの国境に近いオーストリアのブルゲンラントに生まれ、現在はウィーンに住んでいる。国際アンデルセン賞審査員によれば、ヤーニッシュは、読み手の想像にゆだねるような短編物語の達人である。著作の多くにユーモアがあって、なかには理屈を超えたものもあるが、そこには哲学的な要素があり、それがしばしば作品の深さにつながっている。簡潔な文章に意味がこめられ、「少ないことは豊かなこと」という言葉がまさにふさわしい。普遍性のある作品は、あらゆる場所の子どもと大人をひきつける。ヤーニッシュは創作だけでなく、朗読のイベントや、子どもや大人に向けた文学と創作のワークショップなども行い、障がいのある子どもたちの創作ワークショップも手がけるなど、文学における功績が非常に大きい。多層的でニュアンスに富む作品は、それゆえに普遍的であり、読者を勇気づける。(写真ⒸBrigitte Friedrich)
■ 2024年画家賞
シドニー・スミス(カナダ)
2022年4月、シドニー・スミスはディアドリ・ベイカー教授によるインタビューで、「自分が物語に取り組むやり方は、聞くこととよく似ている」と語り、それはほかの作家の文章に絵をつけるときも、自身の物語を描くときも変わらないと述べている。スミスは1980年、カナダのノバスコシア州の田舎に生まれ、トロントで数年を過ごしたあと、家族とともに故郷にもどった。スミスの作品は、絵で語った物語か、短い音楽の記憶のようなものだという、国際アンデルセン賞審査員の言葉は、先述のスミスの言葉につながるだろう。物語を語るテクニックはシンプルなように見えて、修練の賜物である。ひかえめに、しかしリアリティをもって描かれた人物はあたたかく、読者の共感を呼ぶ。どの本でも、自然やにおいやドラマを色によって伝えている。感情を表すために、よけいなものはそぎ落としているところは、「少ないことは豊かなこと」という言葉があてはまる。真に普遍的なものをもつアーティストである。(写真ⒸSteve-Farmer-HI-RES)
■ 2024年最終候補者(ショートリスト)
作家賞
Marina Colasanti(ブラジル)
Heinz Janisch(オーストリア)*
Lee Geum-yi(韓国)
Bart Moeyaert(ベルギー)
Timo Parvela(フィンランド)
Edward van de Vendel(オランダ)
画家賞
Cai Gao(中国)
Iwona Chmielewska(ポーランド)
Nelson Cruz(ブラジル)
Elena Odriozola(スペイン)
Sydney Smith(カナダ)*
Paloma Valdivia(チリ)
■ 2024年国際選考委員
委員長
Lia Page
選考委員
Evelyn Arizpe(メキシコ/イギリス)
Brenda Dales(アメリカ)
Sabine Fuchs(オーストリア)
Diana Laura Kovach(アルゼンチン)
Shereen Kreidieh(レバノン)
Bettina Kümmerling-Meibauer(ドイツ)
Jaana Pesonen(フィンランド)
Tan Fengxia(中国)
Pavle Učakar(スロベニア)
Morgane Vasta(フランス)
■ 国際アンデルセン賞について、歴代受賞者や日本の候補者一覧はこちらから▶▶