「JBBY50周年記念ビデオ」テキストファイル
ビデオの音声を聴き取るのが難しい方は、こちらのテキストをご参照ください。
■ もくじ ■■■
- Video 1: 国際アンデルセン賞と受賞者のメッセージ(約4分50秒)
国際アンデルセン賞と日本の5人の受賞者たち(解説)
上橋菜穂子さん(2014年国際アンデルセン賞作家賞受賞)コメント
角野栄子さん(2018年国際アンデルセン賞作家賞受賞)コメント - Video 2: JBBY50周年によせて~お祝いメッセージ集(約8分40秒)
Sylvia Vardelさん(前IBBY会長)
末盛千枝子さん(元IBBY国際理事)
岩田美津子さん(てんやく絵本ふれあい文庫代表)
富安陽子さん(児童文学作家)
田島征三さん(画家)
岩瀬成子さん(児童文学作家)
荒井良二さん(画家) - Video 3: JBBY50年のあゆみ(約5分50秒)
JBBYのあゆみ 1974年~2024年(解説) - Video 4: 国際子どもの本の日のポスターたち(約4分30秒)
- Video 5: JBBYの「これまで」と「これから」(約7分)
さくまゆみこさん(前JBBY会長)
野上暁さん(JBBY副会長)
宇野和美さん(JBY会長)
Video 1
国際アンデルセン賞と受賞者のメッセージ(約4分50秒)
■ 国際アンデルセン賞と日本の5人の受賞者たち(解説)
国際アンデルセン賞は、1953年にIBBYが創設した、世界で初めての子どもの本の国際的な賞です。子どもの本が未来を拓き平和を生むというその理念から「小さなノーベル賞」と称され、1992年から2022年までデンマークのマルガレーテ2世元女王が後援していました。2年に一回各国で開かれているIBBY世界大会の中で行われる授与式では、受賞者に、賞状とアンデルセンの横顔が刻まれたメダルが贈られます。
IBBY創設から3年の準備期間を経て1956年にストックホルムで第1回の授与が行われました。以来、隔年で選考されていますが、初めの3回は作品に対して贈られました。
1962年(第4回)からは、永らく子どもの本に貢献してきた作家の全業績に対して授与されることになり、1966年(第6回)には、作家賞と並び画家賞が設立されました。各国支部が作家と画家を推薦し、国際審査を経て受賞者が決定します。2024年までの受賞者は作家賞36人、画家賞30人です。
JBBYでは国内選考会を実施して、全業績を通して国際アンデルセン賞にふさわしい日本の作家と画家を選び、IBBYに推薦します。これまで、画家賞として 赤羽末吉さん、安野光雅さん、作家賞として まど・みちおさん、上橋菜穂子さん、角野栄子さん と、5人の日本人がこの賞を受賞しました。
■ 上橋菜穂子さん(2014年国際アンデルセン賞作家賞)
JBBY、今年50周年だそうで、本当におめでとうございます。どうか、これからも、これまでJBBYが行ってきたように、子どもの本を通して、世界のさまざまな人々が幸せになることができるように、そういうためのお仕事をなさっていってください。これからも長く、長くJBBYが世界に橋を架け続けていくことを心から祈っております。おめでとうございます。
■ 角野栄子さん(2018年国際アンデルセン賞作家賞)
みなさん、こんにちは。角野栄子です。JBBY50周年、おめでとうございます。私が入会したのは、今から40年前、1984年のことです。多分、会員の中では私が一番の年寄りでしょう。IBBYの世界大会が日本であり、この時『魔女の宅急便』でオナーリスト賞をいただきました。私の転機になる年だったと思います。その後、JBBYのいろいろな活動に参加させていただきました。いつも笑いの絶えない、楽しい時間でした。友達も沢山できました。そしてあっという間に40年。6年前にはアンデルセン賞もいただきました。JBBYはいつも私の作家生活の柱でした。思い出も沢山いただきました。それは、今も、これからも、私の力です。本当にありがとうございました。
Video 2
JBBY50周年によせて~お祝いメッセージ集(約8分40秒)
■ Sylvia Vardelさん(2022-2024 IBBY会長)(日本語字幕)
こんにちは。IBBY会長のシルヴィア・ヴァ―デルです。1998年から2000年にJBBYの島多代さんがIBBY会長を務めてくださったこと、1986年にJBBYがIBBY世界大会を東京で開催してくださったことも忘れがたく、深く感謝しています。またIBBY朝日国際児童図書普及賞が存在しているのは、日本の皆さんのすばらしいネットワークのおかげです。世界の優れた読書普及活動を表彰するにあたり、朝日新聞社にご支援いただき、深く感謝しています。山田養蜂場にも、あたたかいご支援をいただいています。山田基金により、世界の200近いプロジェクトに助成金を出すことができました。おかげで世界各地で子どものための読書文化が育っています。2004年の「国際子どもの本の日」の美しいポスターをJBBYが作ってくれたのも特筆すべきことです。「物語をつばさに、想像力を力に」というテーマは感動的です。50周年を迎えたJBBYのみなさん、おめでとうございます。今後もさらなるご活躍を願っています。
■ 末盛千枝子さん(元IBBY国際理事)
JBBY50周年、おめでとうございます。50周年にもなったのかな、という思いがありますけれど、最初にJBBYと関わったのは、1986年にIBBYの世界大会が東京で行われた時です。その3年前に私は、夫が突然死して、かなり大変な状況でおりましたけれど、親友の島多代さんが大会に関わっていたり、あるいは昔務めていた時に出会っていたアメリカの出版社の編集長という人たちが(大会に)来たりして、IBBYの世界大会に関わるようになって、本当に実感をもって世界中の人たちが、それぞれの国で子どもたちと、絵本とどのようにかかわっているのか、ということを身をもって思うような時間を与えられました。石井桃子さんがおっしゃった、「大人になってからのあなたを支えるのは子ども時代のあなたです。」という、素晴らしい言葉がありますけれど、まさにそういうことじゃないかなと思っております。JBBYの50周年が、実り多いものでありますように、と祈っております。
■ 岩田美津子さん(てんやく絵本ふれあい文庫代表)
JBBY創設50周年、おめでとうございます。てんやく絵本ふれあい文庫の岩田と申します。私とJBBYとの出会いは、1994年ごろでした。福音館書店の創業者である松居直さんにお目にかかる機会があり、その時に、ふれあい文庫の活動を高く評価してくださって、当時事務局長をされていた、坂東さんを中心に、JBBYのみなさんが根気よくIBBYに推薦してくださって、「IBBY朝日国際児童図書普及賞」を受賞できたのでした。IBBY50周年の記念大会に参加できたのも、当時IBBYの会長をされていた島さんのお力添えのおかげです。数え上げればきりがないほど、JBBYのみなさんには沢山の夢をかなえていただき、今のふれあい文庫があります。今後もJBBYならではの視点で、子どもの本の普及に力を注いでくださることを祈っています。
■ 富安陽子さん(児童文学作家)
JBBY創設50周年、おめでとうございます。50年前というと、私はまだ中学生でした。もう遠い昔のことですけれども、あれから今日まで、子どもの本をとりまく状況も、子どもの本そのものも、すごく大きく変わってきたと思います。でもどれだけ時代が変わっても、常に子どもと子どもの本の近くに寄り添い、支えてくださるJBBYは、私たち書き手にとっても、子どもたちにとっても、とてもたのもしく、ありがたい存在だと思っております。次の50年、子どもの本がどこに向かうのかはわかりませんけれど、JBBYのますますのご活躍と、ご発展を祈念しております。本当におめでとうございました。
■ 田島征三さん(画家)
JBBY50周年、おめでとうございます。ぼくは、何もお手伝いできなくて、申し訳ない日々でしたが、JBBYの方でいろいろぼくの本を紹介してくれたり、応援してくれていて、本当にありがとうございます。これからも…ぼくもあと50年頑張りますので、JBBYも50年くらいは頑張っていただきたいと思います。
■ 岩瀬成子さん(児童文学作家)
JBBYの50周年、おめでとうございます。JBBYが、すべての子どもたちに良い本を届けたい、すべての子どもたちが幸せに生きて、成長してほしい、という願いのもとに、さまざまな活動をしてこられたこと、それは本当に大きい希望だと思います。それは、子どもたちにとっても、励ましになりますし、また、子どもの本を書いている私たちも大変大きい励ましを受けています。良い質の本であるかどうかというのは、大変大きい問題ですし、考えていかなければいけない、と思います。JBBYは、そのさまざまな活動をとおして、そのことをこれからも考えていかれることと思っています。一方で、子どもの本とはなにか、ということを絶えず考えていかなければいけないと。私たち作家もそうですけれども、子どもの本にかかわる人はみんな、そのことを考えて、もっと自由に、さまざまな表現ができる、そのことを、大きい希望を抱きながら、みんなで…それぞれの立場で考えていけたらな、と思っています。JBBYにはその力があるので、ぜひこれからも有意義な活動を続けていただきたいと思います。私たちのために。
■ 荒井良二さん(画家)
荒井良二です。JBBY50周年、おめでとうございま~す。50年の長きにわたり活動されて、嬉しかったこと、そうでなかったこと、難しかったこと、沢山あったかと思います。でも、これからも、日本の子どもの本の豊かさを、世界に伝えてください。ぜひ伝えてください。では、次は100周年でお会いしましょう!
Video 3
JBBY50年のあゆみ(約5分50秒)
■ JBBYのあゆみ 1974年~2024年
JBBYが誕生したのは1974年。創設時の名称は「日本児童図書評議会」でした。初代会長は、日本書籍出版協会の理事長を務める下中邦彦さんでした。出版社29社、個人会員28人のスタートでした。
JBBYと国際アンデルセン賞には密接な関係があります。JBBYは、賞を主催するIBBYの日本支部として、毎回日本人の候補者を推薦します。
1980年、日本人が初めて国際アンデルセン賞画家賞を受賞しました。赤羽末吉さんです。4年後の1984年、今度は安野光雅さんが画家賞を受賞します。日本の絵本の魅力と奥深さが世界に認知されていきました。
1986年、第20回IBBY世界大会が、6日間にわたり東京で行われました。初めてのアジアでの開催に、50か国、2地域から子どもの本関係者が参加し、総勢900人が一同に会しました。ミヒャエル・エンデやフィリパ・ピアスなどの来日に、日本の参加者は心躍りました。
1994年、詩人のまど・みちおさんが、国際アンデルセン賞作家賞を受賞しました。日本人の作家賞受賞は初めてで、JBBY創立20周年とも重ねて、日本中でお祝いしました。この年インドで開かれたIBBY世界大会において、島多代さんが、アジア初のIBBY会長に選任されました。大会では、当時皇后でいらした美智子さまがビデオでご講演され、世界中で大きな反響を呼びました。
衆参両院の決議で「子ども読書年」と定められた2000年にJBBYは、国際子どもの本の日を祝う「子どもの本の日フェスティバル」を初めて開催しました。この年の5月5日に国立国会図書館国際子ども図書館が開館し、JBBYは開館記念展示「子どもの本・翻訳の歩み展」を共催しました。読書関係団体が協働で実施した子ども読書年記念イベント「ドキドキワクワク子ども本ワールド」にも参画しました。
「2002年、IBBY創立50周年世界大会が、スイスのバーゼルで開催されました。美智子さまは大会名誉総裁として参加され、大会初日に英語で祝辞を述べられました。
2004年、JBBYの創立30周年を記念し、東京と大阪で、国際シンポジウム「子どもの本は世界を結ぶ~日本・韓国・北朝鮮」を開催しました。
2011年3月、東日本を未曽有の大地震が襲いました。JBBYは他団体とともに「子どもたちへ〈あしたの本〉プロジェクト」をたちあげ、被災地で支援活動を行いました。三陸に図書館バスを走らせ、岩手県陸前高田市に「にじのライブラリー」を建設。福島県南相馬市への定期的な本の寄贈は今もつづいています。
2014年、JBBY創立40周年の年に、上橋菜穂子さんが、国際アンデルセン賞作家賞を受賞しました。20年ぶりの日本人受賞に湧きました。
被災地支援の体験も相まって「本の力」を見直した年でした。
2018年、角野栄子さんが国際アンデルセン賞作家賞を受賞し、世界中から祝福の声が押し寄せました。この年、日本出版クラブの移転にともない、JBBYも神保町に事務局を移し、新たなスタートを切りました。
2024年7月、JBBYの法人会員は61社、個人会員は536人となりました。本をとおして、子どもたちのために、未来のために、これからも活動してまいります。
Video 5
JBBYの「これまで」と「これから」(約7分)
JBBYの「これまで」と「これから」を語る
■ さくまゆみこさん(前JBBY会長)
JBBYの前会長のさくまゆみこです。今年は50周年を迎えましたが、周りでたくさん働いてくださっている方がいらっしゃいます。ありがとうございます。それから支えてくださっている方々も本当にどうもありがとうございます。私が会長の職を仰せつかったのは7年くらい前のことです。その時は年々会員が減っていってしまって、どうしよう、という状態でした。それで私が考えたのは、二つあって、一つは活動を活性化していく、ということです。そのためには、みんなが楽しくできるようなことをいろいろと考えたらいいんじゃないかな、と思いました。もう一つはJBBYの「見える化」です。これは、やっていることを-せっかく皆さんが一生けん命やってくださっているので、それを他の方たちにも知っていただく、という意味でホームページとかSNSとかを充実させていきました。ホームページは全く新しいものに変えました。それからチラシも作って、イベントがあるごとに皆さんに知っていただくために配布する、ということもやってきました。今回、宇野さんに代わっていただいて、宇野さんは本当に一所懸命やってくださっているので、嬉しいなと思っております。
■ 野上暁さん(現JBBY副会長)
JBBYが1974年に誕生してから、今年で50周年ということなんですけれど、実はその前史がありまして、(19)60年代、日本が国際社会に復帰していく中で、IBBYから、日本からも国際アンデルセン賞に推薦してほしい、という話があって、児童書の出版社だとか、翻訳家が中心になって、選出母体を作ったんですね。名前は忘れちゃいましたけれども。そこで、3度ほど日本から作家を推薦したんですけれど、作家賞なのか、作品賞なのか、(を)勘違いして、作家賞だと思って推薦し続けてしまったものですから、IBBYの方から「ちょっとちがうんじゃないか」、と言われたことがあって、それで、やっぱりちゃんとした組織を作る必要があるな、ということで、JBBYが1974年に生まれた、と。そういうわけで、もう50年の歴史がありますけれど、これからも子どもたちの健やかな成長と、平和な世界を願って-イエラ・レップマンの精神を継承しながら、活躍していけるといいなと思っております。
■ 宇野和美さん(現JBBY会長)
JBBY、50周年を迎えました。長い間のご支援、ありがとうございます。現会長の宇野和美です。これまでのように、本と子どもを中心にして、子どもの本で国際理解、そして世界に平和を、と考える-そういう皆さんと一緒に活動を続けていける、ということが、一番大事だな、と思っています。今、世界で84か国(注:インタビュー時の数字、2024年9月現在は85か国)のIBBYの加盟国と地域がありますけれど、そういう国と一緒に、心の糧となるような子どもの本を、子どもに届けていけるような、出版文化を保っていければいいなと、思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。