トゥクパをたべよう（インド・絵本）

2019_理解を深める本

『トゥクパをたべよう――インドのごちそうスープ』

　インドの北部ラダック地方で暮らす目の見えない少年ツェリンは、祖母の家に帰るところです。ツェリンは祖母が作る汁麺トゥクパが大好きで、早く食べたくてたまりません。ツェリンは帰り道で出会った友だちや知り合いを、祖母の家に招待します。ところがみんなが到着すると、急な停電で家じゅうがまっ暗になってしまいました。けれども、ツェリンは暗くても平気。むしろ、そのすぐれた触覚と嗅覚をいかして、みんなを助ける絶好の機会です。ツェリンは祖母を手伝いながら、「電気があってもなくてもぼくにとっては同じだよ」と話します。
　この絵本は、自分の感覚を使って、この世界を知り経験することの素晴らしさを教えてくれます。読者は、祖母の家に向かう自立心にあふれた少年の様子から、はじめは彼の目が見えないことに気づかないでしょう。ツェリンがいちばん気にしているのは、大好物のトゥクパと、大好きな仲間たちなのです。